通事・通詞・通辞(読み)つうじ

精選版 日本国語大辞典 「通事・通詞・通辞」の意味・読み・例文・類語

つう‐じ【通事・通詞・通辞】

〘名〙
① 言語の異なる外国人の間に立ち、そのことばを訳して伝え、その意思を取りつぐこと。また、その人。特に、江戸幕府役職として、長崎・平戸に唐通事、阿蘭陀(オランダ)通詞蘭通詞)が置かれた。通訳。通弁。通口(つうこう)。つうず。
※三代格‐五・承和七年(840)九月二三日「其大唐通事有職無掌、望請」
※蘭東事始(1815)上「此家は、其初南蛮船の通詞吉兵衛といへる者にて」
② 取りつぎをすること。
※浮世草子・男色大鑑(1687)八「お手がならば猫までに通事(ツウシ)させよ」
民事裁判で、陳述人が日本語を理解しないか、あるいは耳の聞こえない者やことばの話せない者などである場合、その場に立ち会って通訳することを命ぜられた者。通訳人。
※刑事訴訟法(明治二三年)(1890)一〇〇条「聾者唖者文字を知らざるときは通事を命ず可し」
シャモの小形のものの称。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
[語誌]①は中世古辞書では「通事」という表記が多いが、後に「通詞」と書くことが多くなる。キリシタン資料では「つうず」が一般的で、「日葡辞書」では「つうじ」と「つうず」を同等に扱っている。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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