通模倣様式(読み)つうもほうようしき(英語表記)through-imitation style

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「通模倣様式」の意味・わかりやすい解説

通模倣様式
つうもほうようしき
through-imitation style

音楽用語。各声部がまったく均等な関係模倣を行う多声作曲様式。いずれかの声部が定旋律を保持し,他の声部がそれに対位する定旋律作法と対比される。フランドル楽派ミサモテト多くの例がみられる。

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世界大百科事典(旧版)内の通模倣様式の言及

【シャンソン】より

…この時代にはなお歌曲定型が大勢を占めていたが,同時に近代的な有節形式やより自由な形式も徐々に現れはじめた。 次いで15世紀末になると,全声部に模倣を徹底させるいわゆる〈通模倣様式〉を基礎とするJ.オケヘム,J.オブレヒトらフランドル楽派の時代をむかえる。ここに至り歌曲定型は完全に捨て去られ,ミサやモテットのような宗教曲と同様の対位法的彫琢がなされ,全声部が同じ歌詞を歌うようになる。…

【フランドル楽派】より

…代表的な作曲家はオケヘムオブレヒトであり,そのおもなレパートリーはミサ曲やモテット,あるいは世俗歌曲である。16世紀初頭の第2期には,旋律がいっそう〈カンタービレ〉(〈歌うように〉)となると同時に,各声部が同一旋律を模倣しながら進んでいく通模倣様式を確立した。また,イタリアの清澄な和声法,ポリフォニーホモフォニーの対比効果も重視された。…

【ポリフォニー】より

…4声部書法が定着し,またミサ通常文への作曲が盛んになり,しかも各曲に同一の定旋律を使用することで全体の統一が図られたのもこの頃である。続くフランドル楽派の時代には,各声部が互いに対等に同一旋律の模倣を行う通模倣様式が確立された。声楽ポリフォニーの頂点は16世紀後半のローマ楽派のパレストリーナによって築かれ,その豊かでなめらかな様式は,その後の対位法の規範となった。…

※「通模倣様式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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