逢離(読み)おうさきるさ

精選版 日本国語大辞典 「逢離」の意味・読み・例文・類語

おうさ‐きるさ あふさ‥【逢離】

〘名〙 (形動) (「さ」は時を表わす接尾語)
一方がよければ他方がうまく行かないこと。物事が食い違うさま。
古今(905‐914)雑体・一〇六〇「そへにとてとすればかかりかくすればあないひしらずあふさきるさに〈よみ人しらず〉」
② あれこれ思うこと。あれやこれや。とかくのこと。
徒然草(1331頃)三「心のいとまなく、あふさきるさに思ひみだれ」
③ 行ったり来たりするさま。行き違うこと。入り乱れること。
※北岡本夫木(1310頃)一八「はれくもりふりもつづかぬ雪雲のあふさきるさに月ぞ冴えたる〈藤原実経〉」
④ 会ったり離れたりすること。離合
浮世草子・諸国心中女(1686)二「御内の諚(をきて)世の人聞(ひとぎき)。あふさきるさの心づかひたかひにうき事に思ひ」
[語誌](1)「合ふさ切るさ」が語源とすると、「一方では合ったかと思うと他方では切れ(離れ)て」ということから、①の「一方が良ければ他方がうまくいかない」の意味になったものと考えられる。
(2)語源を「会ふさ来るさ」とする説は、「来(く)るさ」でなく「来(き)るさ」である点が文法上説明困難だが、③の意味が生じる際には、そのような語源意識が働いたと考えられる。

あうさ‐きるさ あふさ‥【逢離】

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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