連(聯)珠(読み)れんじゅ

改訂新版 世界大百科事典 「連(聯)珠」の意味・わかりやすい解説

連(聯)珠 (れんじゅ)

碁石連珠盤(15道盤)の中央(天元)から黒(先手),白(後手)の順に交互に打って,縦,横,斜めいずれかの方向に先に五連に達した方を勝者とする室内遊戯

中国で〈格五〉と呼ばれて漢代以前から行われていたといわれるが,日本における歴史は明らかではない。古くは上流婦人の遊戯であり,下って江戸時代には他の芸能とともに大衆化し,幕末津藩の儒者土井聱牙(ごうが)の《格五新譜》などの書物も出た。1899年《万朝報》を主宰する黒岩涙香(連珠では高山互楽と号し,初世名人を追贈された)が当時の〈格五〉〈五目並べ〉〈五石〉〈五連〉などの名称を統一して〈聯珠〉とし高橋清致による図入り〈聯珠必勝法〉を連載した。1906年には東京聯珠社を創設,同時に段制(当時は九段制)を設け,また強弱手合割り(一種のハンディキャップ)も制定した。当時は碁盤を用い,基本珠形を黒の最初の2珠の並び方で,小げいまを〈桂〉,一間飛びを〈間〉,2連を〈連〉として,各7珠形を定めた。28年3世名人高木楽山が珠形を〈直接かかり〉(黒1に対し直線上に白2とかかる),〈間接かかり〉(黒1に対し斜めに白2とかかる)への応手各12珠形に再編成し,36年に専用の〈十五道盤〉を制定した。やがて小派乱立の状態にあった連珠界もしだいに統合されて,56年社団法人〈日本連珠社〉となり,名人戦ほか各種競技会などを行い,機関誌《連珠世界》(月刊)を発行している。

五連を達成するためには,同一焦点に,(1)〈三三〉 活三連(三または飛び三)が二つ,(2)〈四四〉 四連(四または飛び四)が二つ,(3)〈四三〉 活三連と四連のいずれかを作ればよい。しかし,連珠では先手が絶対有利で,囲碁のこみ出し,将棋の駒落しに相当するハンディキャップをつけることができないので,先手の勝ち形は〈四三〉だけに限定し,三三,四四,長連(一列に6珠以上ならべること)を禁絶手とし,先手が打っても,打たされても負けとなる。ただし,五連になった最後の着珠のときに生じた三三,四四,長連は禁手にはならない。また,後手はいっさいの制約がなく,先手に禁絶手を打たせると〈勝ち〉となる。段級差のバランスを保つためには〈珠形〉選択の手合割りがあり,また,有段者には第五珠(黒の3珠目)を2ヵ所選び,後手がその中の1ヵ所を指定する〈五珠二題打〉がある。先・後各75珠を持ち,勝敗が決しないときは〈満局〉といい,引分けとする。なお,19道盤と碁石を用い,先手の〈四四〉を禁じない〈旧連珠〉,いわゆる〈五目並べ〉といって,十五道盤を用い自分からの〈三三〉を禁じる以外の制約を設けない遊び方もある。
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