連鎖球菌(読み)れんさきゅうきん

精選版 日本国語大辞典 「連鎖球菌」の意味・読み・例文・類語

れんさ‐きゅうきん ‥キウキン【連鎖球菌】

〘名〙 直径一ミクロン内外の球菌菌体鎖状に数珠(じゅず)つなぎになった化膿菌健康者鼻腔口腔などにもみられる非病原性のものもあるが、病原性のものは化膿・扁桃炎猩紅熱肺炎などを起こす。連鎖状球菌。

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デジタル大辞泉 「連鎖球菌」の意味・読み・例文・類語

れんさ‐きゅうきん〔‐キウキン〕【連鎖球菌】

数珠状につながる性質をもつグラム陽性球菌。ふつう運動性はない。病原性のものでは、化膿かのう丹毒扁桃炎へんとうえん猩紅熱しょうこうねつ気管支肺炎産褥熱さんじょくねつなどの原因菌がある。

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百科事典マイペディア 「連鎖球菌」の意味・わかりやすい解説

連鎖球菌【れんさきゅうきん】

液体培養で連鎖状配列をとるグラム陽性球菌。大きさ0.5〜1.5μm,運動性を欠き,芽胞をつくらない。嫌気(けんき)性で,一部は酸素があると生育できないが,大部分酸素呼吸も行う。血液寒天培地上の集落の性状から,ときに亜急性細菌性心内膜炎の原因となる緑色連鎖球菌(α型)と,溶血性連鎖球菌(β型),および病原性のない無溶血性連鎖球菌(γ型)の3種に分類される。→細菌グラム陽性菌嫌気性菌
→関連項目アクリノール烏のお灸球菌スーパー抗原腸内細菌とびひ膿痂疹敗血症副睾丸炎扁桃炎蜂巣織炎卵管炎卵巣炎涙嚢炎

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改訂新版 世界大百科事典 「連鎖球菌」の意味・わかりやすい解説

連鎖球菌 (れんさきゅうきん)
Streptococcus

連鎖状球菌ともいう。グラム陽性で,直径0.8~1.2μmの球形ないし卵形の連鎖球菌Streptococcus属の細菌。分裂増殖し鎖状に配列することからこの名がある。芽胞非形成性で一般に運動性も欠く。大部分は通性嫌気性であるが,偏性嫌気性のものもある。連鎖球菌属には性質を異にする多くの種が含まれている。病原性の弱い連鎖球菌はヒトの粘膜上に常在しているが,病原性の強いものは化膿や猩紅熱(しようこうねつ)などの種々の感染症を引き起こす。連鎖球菌は分類学的に完全なものではないが,溶血性状,生理性状,血清群などによって分類されている。たとえば溶血性状による分類では,血液寒天培地で培養したときの集落の周囲にみられる溶血性状によって次の4型が区別される。集落の周りに完全な溶血環を生じる溶血性連鎖球菌(β型),溶血環の中に不溶血球がみられる不完全溶血性連鎖球菌(α′型),集落の周りに緑色の環が生じる緑色連鎖球菌(α型),培地に変化のみられない無溶血性連鎖球菌(γ型)である。これらのうち最も病原性の強いのは溶血性連鎖球菌(溶連菌ともいう)である。
細菌
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「連鎖球菌」の意味・わかりやすい解説

連鎖球菌
れんさきゅうきん
[学] Streptococcus

連鎖球菌科の細菌の1属。グラム陽性の球菌であるが、連鎖状になる傾向が強く、ときには単球菌または双球菌状を呈することもある。通常は鞭毛(べんもう)をもたず、運動性もない。胞子は形成しない。多くは通性嫌気性であるが、偏性嫌気性のものもある。糖を分解し、最終生産物として乳酸を生産する。普通寒天(一般細菌用培養基)では生育が悪いが、血液やブドウ糖などを添加すると生育がよくなる。赤血球を溶血する。溶血毒hemolysinを産生し、集落(コロニー)周辺の状態によりα(アルファ)溶血(緑色不透明環)、β(ベータ)溶血(完全溶血、透明環)および非溶血(習慣的にγ(ガンマ)溶血という)に分けられる。血清学的にはA~H、K~O、P~Sの17群に類別する。このうちA群は化膿(かのう)性連鎖球菌、B群はウシの乳房炎をおこすものが中心となる。D群は腸球菌、N群は乳酸球菌で正常乳酸発酵を行うものが多い。C群とG群は化膿菌である。

[曽根田正己]

『塩川優一他編『レンサ球菌感染症 その基礎と臨床』上中下(1992・廣川書店)』『『レンサ球菌感染症の変遷――劇症型の出現』(『臨床と微生物』vol.23, No.1・1996・近代出版)』『渡辺治雄・清水可方監修『劇症型A群レンサ球菌感染症――ヒト喰いバクテリアの出現』(1997・近代出版)』

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栄養・生化学辞典 「連鎖球菌」の解説

連鎖球菌

 →ストレプトコッカス

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世界大百科事典(旧版)内の連鎖球菌の言及

【乳酸菌】より

…このため,広義に乳酸菌といった場合には,ストレプトコッカス科,バチルス科,乳酸杆菌科,アクチノミセス科の細菌が含まれる。代表的な乳酸菌として,ストレプトコッカス科のグラム陽性球菌(Streptococcus,Pediococcus,Leuconostocの諸属)および乳酸杆菌科のグラム陽性杆菌(Lactobacillus属)が挙げられる。【川口 啓明】。…

【細菌】より

…細菌のなかには,細胞分裂後に細菌どうしが離れずに,互いにくっつき合って配列するものがある。そのため,球菌では単球菌のほかに,双球菌,連鎖球菌,ブドウ球菌などの形状がみられ,杆菌では短杆菌や長杆菌のほかに,連鎖杆菌あるいはV字形やY字形などのように配列した形状のものなどがみられる。らせん菌は形がらせん状で,スピロヘータ類によく似ているがまったく異なるものである。…

※「連鎖球菌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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