週刊誌(読み)シュウカンシ(英語表記)weekly magazine

デジタル大辞泉 「週刊誌」の意味・読み・例文・類語

しゅうかん‐し〔シウカン‐〕【週刊誌】

1週間に1回発行される雑誌。時事問題のほか雑多な種類の記事を載せ、実用性・娯楽性を兼ねるものが多い。
[類語]雑誌マガジン同人雑誌月刊誌季刊誌ウイークリークオータリー

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精選版 日本国語大辞典 「週刊誌」の意味・読み・例文・類語

しゅうかん‐し シウカン‥【週刊誌】

〘名〙 一週間に一回ずつ発行される雑誌形式の刊行物。新聞より問題の掘り下げができ、月刊誌より時事性があるのが利点。
※鉛筆ぐらし(1951)〈扇谷正造〉新聞学校カリキュラム「日刊新聞とちがって競争のはげしくない週刊誌では」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「週刊誌」の意味・わかりやすい解説

週刊誌
しゅうかんし
weekly magazine

週1回の定期刊行雑誌。発行形式での原型は、17世紀から18世紀にかけてヨーロッパで盛んだった週刊新聞weekly newspaper。とくに1828年、フランスのエミール・ド・ジラルダンが「フランスおよび外国の諸新聞の週報、文学、科学、芸術、法廷、演劇の雑誌」として創刊した『ボルール(ヴォルール)』は、情報への潜在的飢餓状況にあった中産階級(市民や町人)層に週1回バラエティーに富んだ記事を提供した初めての週刊新聞で、今日の週刊誌の祖型といってよい。19世紀なかばから、たとえばイギリスで広告税を含む「知識に対する課税」が撤廃され、日刊新聞が大衆化し、週刊新聞をしのいでくる。20世紀に入って、二度の世界大戦を経て、エレクトロニクスや印刷技術の革命的な発達に裏づけられたマス・コミュニケーションの時代が到来した。新聞、雑誌、映画などの既存のメディアの量的、機能的な拡大・変化もさることながら、生活の週間余暇の増大とともに、週刊誌は生活のペース・メーカー的役割を果たすようになった。

[柳田邦夫・井家上隆幸]

内容

週刊誌は、(1)政治や経済、社会問題に関する話題性のあるニュース、レポート、(2)知的あるいは刺激的な評論とコラム、(3)意外性のある事実、(4)戦争や災害、病気などのドキュメント、(5)有名人の結婚と離婚あるいは恋と不倫の内幕、(6)性風俗、スポーツ、カー、(7)ファッション、モノ、(8)旅と食べ物、(9)小説、詩、絵画、写真、(10)劇画・漫画、(11)本、映画、演劇などの情報を伝える。国別、ジャンル別に伝える情報の内容は異なるが、経営上の理由から企業広告媒体としての機能がかなり大きく、それが記事編集内容を制約する場合も多くみられる。

[柳田邦夫・井家上隆幸]

機能と問題点


〔1〕日常的なニュース報道のスピードではテレビや新聞に劣るが、スクープ、キャンペーンの迫力では勝ることがある。芸能ゴシップや犯罪報道では、行きすぎが指摘されるほどである。解説・評論も大衆的で平易明解を志す努力は認められてよい。

〔2〕生活情報を伝達する機能は、日本では1970年代以降著しく発達した。いわゆる「豊かな社会」とか「一億総中流化」というあいまいな観念を、活字化したりビジュアル化しなければ発行部数が伸びないと、出版社の経営者や編集者たちが信じ込んだという分析もできよう。グラビアや記事によるセックスの商品化、海外旅行やグルメ情報、ファッション、あるいは金儲(かねもう)け情報が誌面を大きく占めるようになっている。これらは週刊誌のもつ広告媒体としての機能と切り離すことはできない。

〔3〕そのような状況のなかで、プライバシー問題、冤罪(えんざい)事件、名誉毀損(きそん)、性差別の助長などの問題が噴出する一方、権力に対する批判や言論の自由を守る初心を自ら放棄するような論説や評論を多くみるようになっていることは、読者の立場からみれば警戒すべき傾向である。

[柳田邦夫・井家上隆幸]

日本の週刊誌

日本初の週刊誌と目されているのは1908年(明治41)創刊の『サンデー』(太平洋通信社)で、ルポルタージュ、評論、実話物語、小説、詩、セックスものなど、今日の週刊誌の原型がほとんど入っていた。また『週』(1917創刊、週報社)という評論・小説中心の週刊誌もあった。新聞社系の週刊誌は1922年(大正11)に創刊された『週刊朝日』『サンデー毎日』が始まりである。出版社系週刊誌で企業的に成功した先駆けは1956年(昭和31)の『週刊新潮』である。報道性において新聞社に太刀(たち)打ちできまいとみて静観していた他の出版社も大いに刺激を受け、サラリーマン対象の『週刊文春』『週刊現代』(ともに1959創刊)、『週刊ポスト』(1969創刊)、若者対象の『平凡パンチ』、若い女性対象の『週刊女性自身』『週刊平凡』『週刊明星』など続々と週刊誌発行に踏み切った。週刊誌はこの後、高度成長の波にのり、着実に総部数を伸ばし、ジャンルも広げていく。しかし、バブル経済崩壊後は、阪神大震災、オウム事件という大事件が発生した1995年(平成7)には大半が部数を伸ばしたものの下半期には反動が現れ、1996年以降は男性週刊誌も女性週刊誌も低迷が続いている。2001年の週刊誌の推定発行部数は20億1634万冊。月刊誌同27億8138万冊。一時500万部を突破した『少年ジャンプ』をはじめ劇画週刊誌も例外ではない。また写真情報誌として一時は「FF現象」をもたらした『FOCUS(フォーカス)』(1981創刊)、『FRIDAY(フライデー)』(1984創刊)も部数激減で昔日のおもかげはなく、『FOCUS』は2001年休刊となった。そのなかで、1972年(昭和47)創刊の『ぴあ』にはじまる週刊情報誌は、『東京ウォーカー』(1990創刊)など類誌を生んで隆盛にみえる。これは、1970年代前半までの週刊誌が総じて「メッセージ性」を喪失したことの証左ともいえようが、読者層の意識の変化も見逃せない。それをどうみるか、そこに今後週刊誌がどのように変化していくかを考える鍵(かぎ)がある。

[柳田邦夫・井家上隆幸]

外国の週刊誌

アメリカではテレビ番組案内誌『TVガイド』(1948創刊)が最大だが、『タイム』(1923創刊)、『ニューズウィーク』(1933創刊)、『ビジネス・ウィーク』(1929創刊)などの影響力はじみながら大きいものがある。イギリスの『エコノミスト』(1843創刊)、『パンチ』(1841創刊)、フランスの『パリ・マッチ』(1949創刊)、『レクスプレス』(1953創刊)、ドイツの『シュピーゲル』(1947創刊)なども、日本の政治家や学者、ジャーナリスト、一部のビジネスマンに根強い人気がある。アジア諸国にも週刊誌はあるが、確固とした地位を占めているとはみえない。

[柳田邦夫・井家上隆幸]

『尾崎秀樹・宗武朝子著『雑誌の時代』(1979・主婦の友社)』『木本至著『雑誌で読む戦後史』(1985・新潮社)』『塩沢実信著『雑誌100年の歩み――時代とともに誕生し盛衰する流れを読む』(1994・グリーンアロー出版社)』『亀井淳著『反人権雑誌の読み方――体験的「週刊新潮」批判』(1996・第三文明社)』『桂敬一・服部孝章・須藤春夫・伊藤洋子編『出版――出版文化の崩壊はくい止められるか』(1997・大月書店)』『別冊宝島345『雑誌狂時代!』(1997・宝島社)』『浜崎廣著『雑誌の死に方』(1998・出版ニュース社)』『斎藤勲著『さらばフォーカス!――アンカーライターが見た興亡の20年』(2001・飛鳥新社)』『山本栄一著『言論のテロリズム』1、2(2001、2002・鳳書院)』『坂口義弘著『捏造報道――週刊誌文化の罪と罰』(2002・第三文明社)』『鹿島茂著『新聞王ジラルダン』(ちくま文庫)』

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改訂新版 世界大百科事典 「週刊誌」の意味・わかりやすい解説

週刊誌 (しゅうかんし)

週を単位として継続刊行される雑誌をいうが,日本の出版文化において問題とされるときには,そのなかでも時事性や大衆性の強い大量部数の雑誌群の特性をさすことが多い。広義の週刊誌の始原は定めがたい。定期刊行の初期には通信,新聞,雑誌がたがいにきわめて似かよっていたというだけでなく,やがて日刊新聞の競争がはげしくなると日曜付録(日曜版)などのかたちで別とじの数ページを添えることが多くなり,それがさらに本紙と併立する別題号の週刊刊行物となった。たとえば日本の有力週刊誌のうち最長の歴史をもつ《週刊朝日》と《サンデー毎日》が朝日新聞社と大阪毎日=東京日日新聞社とから1922年に創刊されたときには,アメリカ,イギリスの新聞の日曜付録や週刊別冊を編集の範としていた。

 1週間の世界動向を手ごろなページ数におさめることによって,日刊新聞を読みつづけるよりもはるかに端的に情報の核心を報じうるという考えから,現代型の週刊誌《タイム》を1923年に創刊したのは,ヘンリー・ルースであった。彼の創案に追随した多くの競争誌のなかで,《タイム》とともにアメリカの市場を二分しつづけているのは《ニューズウィーク》(1933)である。ニュース週刊誌は,第2次大戦後のヨーロッパ諸国でも新聞におとらぬ声望をえており,ドイツの《シュピーゲル》(1947),フランスの《エクスプレスL'Express》(1957)などがしばしば世論に影響する企画や記事を公にしている。しかし,新聞の報道機能の強いイギリスや日本では,ニュース週刊誌は成功せず現在にいたっている。

 日本で週刊誌が文化の変容の指標として注目されたのは,1956年に創刊された《週刊新潮》によってである。新聞社のようなニュース取材の組織網をもたなくても,大衆的な文芸色と都会的な話題性とを盛れば,読者を継続的に確保できることを同誌が実証したので,つづく数年間に《週刊文春》(1956),《週刊現代》(1959),《週刊ポスト》(1959)など大手出版社による週刊誌があいついでこの新市場に参入した。出版産業としての週刊誌刊行がことのほか成功したのは女性・娯楽・児童雑誌の領域においてである。《週刊女性》(1957),《女性自身》(1958)に始まった女性誌,《週刊明星》(1958),《週刊平凡》(1959)が代表する芸能娯楽誌は,半世紀近い歴史をもつ月刊の主婦雑誌や娯楽雑誌の市場をしだいに切り崩していった。子どもの雑誌においても,59年に《少年サンデー》《少年マガジン》が創刊され長編漫画の連載を競ってから,漫画作家の育成と争奪がはげしくなり,月刊児童誌・学習誌でさえ漫画とそのテレビ・アニメーションの人気にささえられる状態となった。

 週刊誌競争は,日本の出版文化にきわだった変化をもたらした。有力新聞社の週刊誌は自社の編集部記者が取材編集する新聞社の伝統を保っているが,出版社の刊行する週刊誌は社外のエージェントが取材執筆した企画原稿を買いとって流通ルートにのせるというシステムを育てあげ,やがて書籍出版の領域にまでエージェント制(プロダクション制)がひろがる契機となった。また,女性誌や芸能誌のスター・ゴシップ重視は,芸能人のプライバシー侵犯をめぐる係争を招くなど,〈週刊誌的〉と形容されるセンセーショナルな私行描写が問題とされつづけている。70年代以降きわだってきたのは,視覚的な要素と情報素材の提供とを重視する隔週刊誌fortnightly群の成功である。若い女性むけに服飾,旅行,料理などの案内を大版のカラフルな誌面に盛った《アンアン》(1970),《ノンノ》(1971)が現れた。つづいて,男の学生を対象として都市生活と野外レジャーを話題とする《ポパイ》(1976),《ブルータス》(1980)が青春の新風俗をリードしている。また両誌はいわゆるカタログ誌としてのスタイルを確立した。映画,演劇,音楽などのスケジュール表を総集する《ぴあ》(1972,月刊のち隔週刊)は,都市文化の情報誌として成長した。82年に創刊された《フォーカス》は,スナップ写真により有名人のスキャンダルを暴露するという手法で,安価で話題性に集中する週刊誌の特色を再現させた。

 このような大衆週刊誌とはなれて,欧米には当代の批判的ジャーナリズムを代表する知識人の週刊誌がある。アメリカの《ネーションNation》(1865),イギリスの《ニュー・ステーツマンNew Statesman》(1913),フランスの《ヌーベル・オプセルバトゥールLe Nouvel Observateur》(1947)などである。日本では《東洋経済》(1895年《東洋経済新報》として創刊),《エコノミスト》(1923)などの経済評論誌のほかには,知識層を対象とする《朝日ジャーナル》(1959)がわずかにこの分野で努力をつづけている。
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百科事典マイペディア 「週刊誌」の意味・わかりやすい解説

週刊誌【しゅうかんし】

毎週1回定期的に発行される雑誌。新聞と月刊誌の中間的性格をもち,時事的ニュースや評論のほか,大衆的娯楽・実用記事を扱うものも多い。歴史的には週刊新聞とほぼ起源を同じくし,18世紀半ばにヨーロッパにおいて広まり,現在ではジャーナリズムの上で重要な役割を果たしている。日本では1900年博文館発刊の《太平洋》が初めとされるが,これは失敗。後1922年,新聞社系の週刊誌《週刊朝日》と《サンデー毎日》が創刊され,今日に至っている。1956年《週刊新潮》が創刊され,出版社系の週刊誌も大衆的な文芸読物と話題性によって,新聞社のような取材網をもたずとも成功できることを実証して以後,いわゆる週刊誌ブームが起こり,《週刊文春》(1956年),《週刊現代》(1959年),《週刊ポスト》(1959年)など大手出版社が参入した。以後,芸能,娯楽,女性,児童,またマンガの各分野で創刊誌があいつぎ,その後《フォーカス》《フライデー》など写真を主体としたものも登場している。

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世界大百科事典(旧版)内の週刊誌の言及

【昭和時代】より

… この自由を背景に,戦後のマス・メディアの発展はめざましいものがあった。敗戦直後の極端な用紙難のなかで,時事評論誌や風俗雑誌が次々と創刊され,解放感をふりまいたのにはじまって,出版界の発展は急速で,1950年代後半からは週刊誌がひろがり,男性向け,女性向け,少年向けなどさまざまなジャンルの週刊誌が刊行され,風俗や流行をリードした。とくに発展が著しかったのは放送の分野で,51年にラジオの民間放送がはじまり,娯楽放送を中心にたちまち全国にひろがった。…

※「週刊誌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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