進士氏(読み)しんしうじ

改訂新版 世界大百科事典 「進士氏」の意味・わかりやすい解説

進士氏 (しんしうじ)

鎌倉・室町時代の武家。進士とは,がんらい律令制の大学学生で,式部省が課した試験に合格したものをいう。のち称号となり,さらに氏となる。藤原南家真作流に清兼(進士大夫,中河進士と号す)などがみえる。鎌倉時代には《吾妻鏡》に御家人として進士基度・光政・隆邦などが現れる。室町期には,番帳類に進士氏一族の名がみえ,幕府の奉公衆であったことがわかる。広島大学文学部に〈進士文書〉が所蔵されており,これらによると南北朝・室町期の進士氏は,加賀国能美郡比楽村,越中国射水郡三田社,河内国伊香郷などの地頭職をはじめ,三河国額田郡や下野国足利荘など足利将軍家ゆかりの地に所領を有していたことがわかる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の進士氏の言及

【供御方】より

…81年(文明13)には足利義尚の供御に疋田氏が関与していたと思われるし,1540年(天文9)足利義晴の供御方は下津屋氏であった。進士氏は恒例の儀式的調膳(例えば年末すす払い後の三献の儀など)を務めているが,少なくとも戦国期には恒例の儀式的調膳以外は進士,太田氏の専有する職務ではなく,御末衆の中から適宜任ぜられたもののようである。御末【村尾 元忠】。…

※「進士氏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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