進歩のための同盟(読み)しんぽのためのどうめい(英語表記)Alliance for Progress

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「進歩のための同盟」の意味・わかりやすい解説

進歩のための同盟
しんぽのためのどうめい
Alliance for Progress

アメリカ合衆国の J.ケネディ大統領の提唱で,1961年8月に米州機構経済社会理事会で採択されたラテンアメリカ経済社会の発展のための 10ヵ年計画 (→プンタデルエステ憲章 ) 。アメリカ合衆国が中心となって 10年間に 200億ドルの経済援助と民間投資を提供するかわりに,ラテンアメリカ諸国に対して,みずから生活水準の向上,物価安定,住宅改善,識字教育の徹底,工業化の促進などを実行することを義務づけた。本来の意図は,保守的支配層に一定の社会改革を促すことでラテンアメリカ諸国の政情を安定させ,キューバ革命の影響が他へ波及することを防止することにあり,これと並行して軍部にゲリラ鎮圧能力をつけさせるため軍事援助が供与された。加盟国はキューバを除くラテンアメリカ 19ヵ国。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「進歩のための同盟」の解説

進歩のための同盟(しんぽのためのどうめい)
Alliance for Progress

キューバ革命に危機感を抱いたアメリカのケネディ大統領が1961年に提唱し,米州諸国の会議で賛同を得た開発協力構想。米州諸国の民生向上を民主的に進める計画にアメリカ政府,国際機関などが10年間に200億ドルの資金を投入し,これら諸国の国内投資と併せて,年率2.5%以上の経済成長を達成する構想で,進歩的勢力伸長民主政治の安定を促すねらいがあった。政治改革には諸国の保守勢力の抵抗があり,アメリカ政府も急進的改革の奨励を躊躇したので,民生向上も経済成長も政治民主化も目立った成果を上げられず,結局理念倒れに終わった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「進歩のための同盟」の解説

進歩のための同盟
しんぽのためのどうめい

1961年,アメリカのケネディ大統領が中南米に対して提案した反共同盟
キューバ危機に際して提案。経済援助によるラテンアメリカ諸国の共産化阻止を狙った。

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世界大百科事典(旧版)内の進歩のための同盟の言及

【ラテン・アメリカ】より


[混沌とした変革期]
 キューバ革命はこの地域の現状変革の動きにさまざまなかたちで影響を及ぼした。アメリカ合衆国はキューバ革命の拡大を阻止するために〈進歩のための同盟〉を打ち出して,この地域の諸国の社会構造の改革や経済発展や政治の民主化に積極的に乗り出した。また工業化を促進して経済の発展を図るために1960年代初めにはラテン・アメリカ自由貿易連合や中央アメリカ共同市場が創設された。…

※「進歩のための同盟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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