遅延ポテンシャル(読み)ちえんポテンシャル(英語表記)retarded potential

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「遅延ポテンシャル」の意味・わかりやすい解説

遅延ポテンシャル
ちえんポテンシャル
retarded potential

電磁気的作用は光速度 c で伝わるので,場の変化が遅れて伝わるが,これを考慮して求められたポテンシャル。たとえば原点に置かれた双極子モーメント P が時間的に変わるとき,双極子放射が行なわれるが,原点から r だけ離れた点での時刻 t におけるポテンシャルに寄与するものは P(t) ではなく,t より r/c だけ前の時刻のモーメント P(tr/c) である。tr/c遅延時間,求められたポテンシャルを遅延ポテンシャルといい,電磁波の放射などについての計算にしばしば用いられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の遅延ポテンシャルの言及

【電磁ポテンシャル】より

…この時刻のずれは,電磁的影響が光速で,r′からrにまで伝わる時間を表している。(5)(6)を遅延ポテンシャルという。電場や磁場は(1)(2)に従ってポテンシャルに微分演算を施すだけで求められる。…

※「遅延ポテンシャル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android