遅遅(読み)ちち

精選版 日本国語大辞典 「遅遅」の意味・読み・例文・類語

ち‐ち【遅遅】

[1] 〘形動タリ〙
物事の進み方がおそく、ゆったりしているさま。のろのろして遅いさま。
懐風藻(751)春日於左僕射長王宅宴〈大津首〉「飽徳良為酔、伝盞莫遅遅」
※鷲(1940)〈川田順〉巻末小記「予は歌歴いたづらに長く、歩みの遅々たること牛の如しだ」 〔詩経‐邶風・谷風〕
② 一日がゆったりとのどかで長いさま。春の日についていう。
万葉(8C後)一九・四二九二・左注「春日遅々鶬鶊正啼」 〔詩経‐豳風・七月〕
[2] 〘名〙 敏速でなくおくれること。とどこおること。ためらうこと。遅滞
今昔(1120頃か)三一「御裁許の遅々しけるにや、山階寺若干大衆京上して勧学院に着けり」
評判記・吉原すずめ(1667)上「はじめてのさかづきを、ちちしてさしかねたるは」

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デジタル大辞泉 「遅遅」の意味・読み・例文・類語

ち‐ち【遅遅】

[名](スル) おくれること。とどこおること。
「今更―する事かはとことば鋭く議せらるれども」〈条野有人・近世紀聞〉
[ト・タル][文][形動タリ]
物事の進行がおそいさま。ゆっくりしているさま。「遅遅としてはかどらない」
落葉青苔を踏む―たる庭下駄の歩みにつれて」〈荷風・見果てぬ夢〉
日が長くのどかであるさま。「春日遅遅たり」
[類語]遅いのろいのろくさいまだるいまだるっこいとろい緩慢緩徐遅緩スロースローモーのろのろそろそろゆっくりぐずぐずもたもたのっそりだらだらのろま鈍重ちんたらまぬるいまのろい鈍いぼやぼやのさのさのそのそとぼとぼのこのこのそりのっしのっしのしのしどんとろとろぼちぼちぼつぼつぽつぽつ徐徐徐徐にじわじわじわりじわりじりじりのたりのたりのたりそろりゆるゆるのんびりのらくらゆったり悠然悠悠もさくさもさっともさもさ便便だらり便便のんべんだらりずぼらものぐさぐうたらだらしないしだらないぬらりくらりのらりくらりぬらくらちゃらんぽらん無精ルーズぶらぶらごろごろ無気力だらけるのほほん風太郎ぷうたろうその日暮らしふしだら自堕落ずるける怠ける手を抜く手抜き骨惜しみ投げ遣りレイジー怠慢怠惰無為拱手きょうしゅ横着怠るサボるイージーイージーゴーイング風の吹くまま気の向くまま油を売るまったり漫然たるむぬるま湯ぬるま湯につかる

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普及版 字通 「遅遅」の読み・字形・画数・意味

【遅遅】ちち

ゆっくりする。宋・質〔児姪を誡む、八百字〕詩 (しやくしやく)たる園中の 蚤(はや)く發(ひら)き(ま)た先づ萎(しぼ)む 賦命疾徐り 雲力(つと)めて致しし 遲遲たる 鬱鬱(うつうつ)としてを含む

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