遊人(読み)ゆうじん

精選版 日本国語大辞典 「遊人」の意味・読み・例文・類語

ゆう‐じん イウ‥【遊人】

〘名〙
職業を持たないで遊んでいる人。また、道楽者。あそびにん。
※俳諧・雑談集(1692)上「なまじゐに高尊の席をたたれ、遊人もしゐて交をゆるさずなりにければ」 〔塩鉄論‐相剌〕
② 遊覧する人。物見遊山に出る人。
※性霊集‐二(835頃)大和州益田池碑「春繍映池、観者忘帰、秋錦開林、遊人不倦」 〔鄭谷‐曲江春草詩〕
③ 遊里で遊ぶ人。遊女の相手となる客。
※評判記・色道大鏡(1678)凡例末世の遊人(ユフジン)、道をしらずして宝を費し」
④ 遊里に居る人。遊女。
※閑居友(1222頃)下「中納言顕基むろの遊人を思ひて、いみじくいひかはして侍けるが」
太鼓持ち。
人情本春色辰巳園(1833‐35)二編序「辰巳の遊人(イウジン) 善孝誌」

あそび‐にん【遊人】

〘名〙
定職を持たずに遊んで暮らしている人。
※歌舞伎・鼠小紋東君新形(鼠小僧)(1857)三幕「同じ遊(アソ)び人(ニン)ごろつきでゐても」
遊興遊蕩を好む人。遊びに巧みな人。
浮世草子諸道聴耳世間猿(1766)五「宵より風だち、誰もかれもいひ合せたやうに遊び人なく」
ばくちをして世渡りをする人。賭博の常習者。遊び手。
談義本・地獄楽日記(1755)二「娑婆(しゃば)ではおつをやった遊人(アソビニン)でござりますれば」

あそび‐びと【遊人】

〘名〙 音楽を奏する人。楽人伶人(れいじん)。あそびお。あそびもの。
※宇津保(970‐999頃)嵯峨の院「例のあそび人達かずをつくして、〈略〉、いとをかしげなり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「遊人」の意味・読み・例文・類語

ゆう‐じん〔イウ‐〕【遊人】

一定の職業をもたず遊び暮らしている人。また、道楽者。〈和英語林集成
物見遊山に出かける人。遊客。
「―は、梅花を見つけて」〈中華若木詩抄・下〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「遊人」の読み・字形・画数・意味

【遊人】ゆう(いう)じん

あそぶ人。旅人。前蜀・荘〔蛮〕詞 人人盡(ことごと)く(い)ふ、江南好しと 人只だ合(まさ)に江南に老ゆべし 春水は天よりも碧(あを)く 畫に雨を聽きて眠る

字通「遊」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「遊人」の意味・わかりやすい解説

遊人
あそびにん

一定の職業につかず,ぶらりぶらりと遊び暮す人のこと。特に江戸時代には,博奕打 (ばくちうち) ,やくざ,侠客をもさした。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android