過塩素酸アンモニウム(読み)カエンソサンアンモニウム(英語表記)ammonium perchlorate

デジタル大辞泉 「過塩素酸アンモニウム」の意味・読み・例文・類語

かえんそさん‐アンモニウム〔クワエンソサン‐〕【過塩素酸アンモニウム】

過塩素酸アンモニウム塩無色結晶。水やエチルアルコールアセトンに溶ける。爆薬カーリット原料ロケット固体燃料とする。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「過塩素酸アンモニウム」の意味・わかりやすい解説

過塩素酸アンモニウム
かえんそさんあんもにうむ
ammonium perchlorate

過塩素酸のアンモニウム塩。過塩素酸ナトリウム硫酸アンモニウムあるいは塩化アンモニウムなどとの複分解によってつくられる。また、過塩素酸水溶液にアンモニアを通じ、蒸発濃縮して結晶化する方法もある。

 無色の結晶、240℃で立方晶系に変わる。真空中で加熱すると150℃で分解し始め、約400℃で発火する。水によく溶け、アルコール、アセトンにも多少溶ける。用途としては、日本で工業化した過塩素酸爆薬(カーリット)の主原料がおもなものである。近年では、ロケットモーターの固体燃料の一つであるコンポジット推進薬酸化剤としても用いられるようになっている。

[鳥居泰男]

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化学辞典 第2版 「過塩素酸アンモニウム」の解説

過塩素酸アンモニウム
カエンソサンアンモニウム
ammonium perchlorate

NH4ClO4(117.49).過塩素酸とアンモニアの中和により生じる.無色または白色の斜方晶系結晶.密度1.95 g cm-3.強い酸化剤であるが常温では安定である.真空中で加熱すると150 ℃ で分解し,400 ℃ で発火する.水に易溶,エタノール,アセトンに可溶,エーテルに不溶.有機物や可燃物と混合すると常温でも爆発性となる.爆薬カーリットの主原料.ロケット固体燃料の酸化剤としても用いられる.皮膚粘膜を刺激する.[CAS 7790-98-9]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「過塩素酸アンモニウム」の意味・わかりやすい解説

過塩素酸アンモニウム
かえんそさんアンモニウム
ammonium perchlorate

化学式 NH4ClO4 。無色結晶で,加熱により分解。比重 1.95 。水,メチルアルコールに可溶。過塩素酸塩爆薬の主成分で,ケイ素鉄,木粉,ワセリンを加えて爆発力,安全性を増して,おもに土木工事用に使われる。そのほか,ジェット,ロケット用発射薬として重要である。

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