過酸(読み)かさん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「過酸」の意味・わかりやすい解説

過酸
かさん

(1) peracid オキソ酸の中心原子の酸化状態が標準的な酸よりも高いもの。たとえば過塩素酸 HClO4 ,過マンガン酸 HMnO4 などがある。有機化学では -C(O)-O-O-H の原子団を有する酸,たとえば過酢酸 CH3C(O)-O-O-H ,過安息香酸 C6H5C(O)-O-O-H などを過酸と総称する。対応するカルボン酸過酸化水素を作用させると生成する。弱酸であるが,非常に酸化力が強く,熱すると激しく爆発する性質を有する。
(2) peroxoacid 無機化学ではオキソ酸の中心原子に結合している O2- がペルオキソ O22- となっているものの総称で,対応するオキソ酸に過酸化水素を作用させると生成する。ペルオキソ硝酸 HNO4 ,ペルオキソリン酸 H3PO5 などがある。一般にペルオキソ酸と呼ばれる。酸化力が強く,加水分解されると過酸化水素を生じる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「過酸」の意味・わかりやすい解説

過酸
かさん
peracid

ペルオキソ酸のこと。古く過酸化酸といい、それを略して過酸といっていた。

[編集部]

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