道者関(読み)どうじゃぜき

改訂新版 世界大百科事典 「道者関」の意味・わかりやすい解説

道者関 (どうじゃぜき)

中世において修行者や社寺参詣者である道者をおもな課税対象とした関所。参詣者は交通者の一重要部分を占めるから,つねに関所の課税対象であるが,とくに参詣の盛んな社寺の近くや門前に設けられた関は,大半が参詣者=道者を対象とした。室町時代もっとも参詣の盛んだったのは伊勢神宮であり,このため参宮街道には関所が多く,桑名日永の間わずか4里のうちに60余関が数えられ,伊勢一国で120関に及んだという。熊野山や高野山も南北朝以来その近くに関が多く,また大和長谷寺や,地方では相模江ノ島や富士山の各登山口,加賀白山,越中立山,出羽三山など参詣や登山のある程度盛んな社寺の近傍には,例外なく道者関が見られた。参詣者は永い道中多くの関をかいくぐって,さらに道者関で課税されるので負担は大きく,参詣の発展を阻むことはなはだしかった。織田信長の関所撤廃により,伊勢参宮をはじめ各地の参詣は格段に活発となった。
伊勢参り
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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