精選版 日本国語大辞典 「遠慮」の意味・読み・例文・類語
えん‐りょ ヱン‥【遠慮】
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江戸幕府の下における刑罰ないし自発的謹慎。刑罰としては,武士,僧侶に科され,受刑者は屋敷に籠居して門を閉じるが,潜門(くぐりもん)は引き寄せておくだけでよく,夜間他の者が目だたぬように出入りしてもよかった。また武士は一定範囲の近親,もしくは家来が処罰されたときには,自発的に謹慎すべきであった。通常上司に差控伺(さしひかえうかがい)といういわば進退伺を出し,その指揮によって御番遠慮,御目見(おめみえ)遠慮などが命ぜられた。御番遠慮は勤務の禁止で,他行せず,月代(さかやき)もそらず籠居するもの,御目見遠慮は将軍の拝顔を遠慮するもので,御目見の儀式,および御成(おなり)の場合,勤仕から除かれるが,その他の出勤は許された。
執筆者:平松 義郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…言動を控え,みずからを戒めることで,刑罰・制裁としても科せられた。江戸時代,慎(つつしみ)と称した公家・武士の閏刑(じゆんけい)(特定の身分の者や幼老・婦女に対し本刑の代りに科す刑)は,《公事方御定書》が規定する塞(ひつそく),遠慮に類似の自由刑で,他出・接見などの社会的活動を制限することに実質的意義があったが,また名誉刑的な性格ももつ。幕末には大名処罰に隠居と併科された例が多くみられる。…
…江戸幕府法では武士と僧に科せられる刑で,屋敷の門を閉じ,昼夜とも当人および内外の者の出入りを禁じ,ただ病気のときには夜中に医師を招き,また出火,類焼にあたっては消防,避難することは許されていた。自由刑と名誉刑との性質をもつ刑罰で,これより軽いものとして〈塞(ひつそく)〉〈遠慮〉〈戸〆(とじめ)〉〈押込(おしこめ)〉があった。前2者は武士と僧に科するもの。…
※「遠慮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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