遠藤ゑつ(読み)えんどう・えつ

朝日日本歴史人物事典 「遠藤ゑつ」の解説

遠藤ゑつ

没年:文久2(1862)
生年:文化11(1814)
江戸後期,大原幽学が提唱した「換子教育」の実践者。下総国香取郡大角村(千葉県)に生まれ,文政12(1829)年長部村の良左衛門に嫁した。舅の伊兵衛は幽学を頽廃した長部村の再建のために招いた中心人物であった。ゑつは当初,換子教育に批判的であったため,幽学の教えに傾倒していた夫から実家に帰される。しかし実家で兄嫁の子と自分の子とを育てていく過程で,自他の子の区別をつけ難く思えるようになったと,その教育の効果を身をもって体験。以後,幽学の教えの普及に努めた。<参考文献>田尻稲次郎編『幽学全書』,菅野則子「大原幽学にみる〈家〉と女性子供」(近世女性史研究会編『江戸時代の女性たち』)

(菅野則子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「遠藤ゑつ」の解説

遠藤ゑつ えんどう-えつ

1814-1862 江戸時代後期の女性。
文化11年生まれ。文政12年下総(しもうさ)香取郡長部村(千葉県)の名主の長男遠藤良左衛門と結婚。村復興のためにまねかれた大原幽学の説く「換え子(預かり子)教育」に批判的で,いったんは実家にかえされるが,のち幽学の教えに共鳴し,その普及につとめた。文久2年死去。49歳。下総香取郡大角(おおとがり)村(千葉県)出身

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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