デジタル大辞泉
「遮」の意味・読み・例文・類語
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さえ‐ぎ・る【遮】
〘他ラ五(四)〙 (「さいぎる(遮)」の変化した語)
① じゃまし、さまたげる。防ぎとめる。
※
書紀(720)神武即位前(寛文版訓)「尽に属
(したか)へる兵
(つはもの)を起して、孔舎衛
(くっさえ)の坂に徼
(サヘキリ)て、与
(とも)に会
(あ)ひ戦
(たたか)ふ」
※高野本平家(13C前)一〇「人をほろぼし、身をたすからんと思ふ
悪心のみ遮
(サヘギッ)て、
善心はかつて発
(おこ)らず」
② 先立って行なう。〔
日葡辞書(1603‐04)〕
③ へだてをして見えないようにする。へだてふさぐ。古くは「眼(まなこ・め)に遮る」の形で、目の前に現われて、へだてをする、の意を表わした。
※
海道記(1223頃)
菊川より手越「眼に遮る者は檜原・槇の葉、老の力ここに疲れたり」
※
読本・南総里見八犬伝(1814‐42)二「朦朧として女の姿、わが眼に遮
(サヘギ)りにき」
[語誌](1)
従来、この語の語構成を「障
(さ)へ切る」と考え、歴史的仮名づかいを「さへぎる」とするものが多かったが、
平安時代にはほとんど「さいきる」の形で現われ、「さへきる」となるのは鎌倉以降であるところから、サキキル→サイギル→サエギルと変化したものと考えるのが妥当である。なお、
連濁をおこしていることや「
名義抄」のアクセント面から考えても「障へ切る」説は成立しないとされている。
(2)この
動詞の本来の意味は、進行の妨げをすることであるが、中古末には、②の相手より先に行動を起こす、先んずる、という意味用法が生じた。
さい‐ぎ・る【遮】
〘他ラ四〙 (「さききる(先切)」の変化したもの。「さえぎる」の
古形)
※書紀(720)継体二一年六月(前田本訓)「外は
海路を邀
(た)へて、〈略〉内は
任那に遣せる毛野臣の軍を遮
(サイキ)りて」
※内閣文庫本仁安元年中宮亮重家歌合(1166)「左の、月の山の端出づるより、いかにかすべき入らむ惜しさをといへる、あまりさいぎりてやあらむ」
※
史記抄(1477)一一「あれが志をさいきりて、こちから云て賂を以てよろこばせて」
※米沢本沙石集(1283)五本「かかる世のためし目にさいきり耳にみてれども、思
ひよりておとろく心なくして」
[語誌]→「さえぎる(遮)」の語誌
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報