那智勝浦町(読み)なちかつうらちよう

日本歴史地名大系 「那智勝浦町」の解説

那智勝浦町
なちかつうらちよう

面積:一八四・二四平方キロ

東牟婁郡の東南部に位置し、北東は新宮市、北は熊野川くまのがわ町、西は古座川こざがわ町、南西は古座町に接し、南東太地たいじ町があるが大半は熊野灘に面する。町域のほとんどは山地や丘陵地で、平地太田おおた川・那智川の下流域などにみられるのみ。海岸部はリアス海岸で複雑に入組み、天然の良港を形成。こうした地形と温暖多雨・長日照の気候から、茶・柑橘類・蔬菜の栽培が盛んである。海岸部は熊野灘を漁場に控えて漁業が盛んで、とくに勝浦は鰹・鮪漁の根拠地となり、また浦神うらかみはハマチ養殖で活気を帯びている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「那智勝浦町」の意味・わかりやすい解説

那智勝浦〔町〕
なちかつうら

和歌山県南東部,熊野灘にのぞむ町。 1955年那智町,勝浦町,宇久井村色川村が合体して発足。 60年太田村,下里町を編入。中心集落は那智と勝浦で,那智は那智川上流域に位置し,熊野三山の1つ熊野那智大社門前町として発達。背後に那智山を控え,那智大社のほか西国三十三所第1番札所の青岸渡寺妙法山 (750m) にある女人高野阿弥陀寺,那智の浜の補陀洛山寺などがあり,熊野信仰の一中心地をなす。勝浦は陸繋島の狼煙 (のろし) 半島にいだかれた天然の良港をもつ港町で,古くから新宮の外港,漁港として繁栄。現在も遠洋漁業の根拠地。湾岸は紀ノ松島とも呼ばれる沈降海岸の景勝地で,周辺には勝浦温泉や湯川温泉など豊富な温泉があり,熊野詣での湯垢離 (ゆごり) 場として利用された。熊野観光の拠点で名瀑那智滝は名勝に,那智大社の社叢那智原始林は天然記念物に指定されている。下里には史跡指定の下里古墳がある。伝統芸能の那智の田楽は重要無形民俗文化財。一帯は吉野熊野国立公園に属する。那智山スカイラインが通じ,海岸部を JR紀勢本線,国道 42号線が通る。面積 183.31km2(境界未定)。人口 1万4137(2020)。

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