那智黒(読み)ナチグロ

デジタル大辞泉 「那智黒」の意味・読み・例文・類語

なち‐ぐろ【那×智黒】

三重県熊野地方から産出する、黒色緻密ちみつ珪質けいしつ粘板岩硯石すずりいし・黒碁石などに加工される。
碁石の形をした黒砂糖あめ和歌山県郷土菓子

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精選版 日本国語大辞典 「那智黒」の意味・読み・例文・類語

なち‐ぐろ【那智黒】

〘名〙
① 三重県熊野市神川地方から産する黒色で光沢のある石。硬質の粘板岩から成る。碁石・硯石(すずりいし)などに加工される。那智石。〔大和本草(1709)〕
② ①を摸した和歌山県の郷土菓子。黒砂糖を素材とした練りのかたい飴玉。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「那智黒」の意味・わかりやすい解説

那智黒
なちぐろ

和歌山県の銘菓。黒糖を用いたきわめて固練りの飴(あめ)玉で、その形状から碁石(ごいし)飴ともいう。那智黒は熊野地方に産する光沢のある黒石で、碁石や硯(すずり)石、庭石に使われる名石のことだが、1877年(明治10)新宮(しんぐう)市の森田京菓舗が、琉球(りゅうきゅう)黒糖で碁石そっくりの飴をつくり名物となった。第二次世界大戦以降は店名も那智黒本舗と変え、和歌山県太地(たいじ)町に移ったが、戦時中に農林省から保存名菓の指定を受けた黒糖飴の風味は、当地からハワイなど海外に移住した一世たちにも懐かしまれている。

[沢 史生

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百科事典マイペディア 「那智黒」の意味・わかりやすい解説

那智黒【なちぐろ】

那智石とも。黒色,緻密(ちみつ),堅硬な粘板岩の石材名。光沢が美しく,碁石・硯石(すずりいし)などに使用。かつては試金石としても用いられた。三重県熊野市神川町の中生界から産出。
→関連項目熊野[市]碁石

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デジタル大辞泉プラス 「那智黒」の解説

那智黒

和歌山県、那智黒総本舗が製造・販売する銘菓。黒砂糖を直火で練り上げた黒飴。熊野の特産那智黒石で作られた碁石に因んだもの。

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世界大百科事典(旧版)内の那智黒の言及

【熊野[市]】より

…1940年に紀勢西線が紀伊木本駅(現,熊野市駅)まで通じたため,和歌山,大阪との関係が深かったが,紀勢本線の全通(1959),国道42号線(熊野街道)矢ノ川(やのこ)新道の開通(1967)で,県中央との連絡が容易になった。良質の杉材,山腹斜面のミカン,沿岸の漁獲物が主産物で,那智黒石を原料とするすずり石,碁石も特産物である。吉野熊野国立公園に含まれ,市街地北東の隆起海食崖鬼ヶ城,砂防松林が続く七里御浜,その北部の獅子巌や伊弉冉(いざなみ)尊をまつる花窟(はなのいわや)神社,二木島の海中公園,奥瀞峡の七色ダムなどがみどころである。…

【那智石】より

…和歌山と三重の県境部の和歌山県那智地方や三重県熊野市神川町に産する黒色緻密なケイ質粘板岩の石材名。那智黒ともいう。三重県南牟婁郡御浜町七里御浜で採取される薄い楕円形の砂利は,河川によって運搬され海岸の波浪によって磨かれたもので,純黒色で光沢があり,敷砂利の最良質のものとして全国に有名である。…

※「那智黒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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