郝経(読み)かくけい(英語表記)Hǎo Jīng

改訂新版 世界大百科事典 「郝経」の意味・わかりやすい解説

郝経 (かくけい)
Hǎo Jīng
生没年:1223-75

中国,元初の儒臣。字は伯常。沢州陵川(山西省)の人。儒者の家に生まれたが,金末の騒乱にあって労苦ののち,張柔,賈輔の客分となった。皇太子時代のフビライに召されて信任をえ,ともに対南宋戦に参加した。この征戦の最中,憲宗が死没するが,この時,カラコルムに留まり国政にあたっていたアリクブカの帝位奪を阻止するため,郝経は南宋との講和を献策し,フビライの即位に貢献した。そしてフビライ即位の直後,外交交渉のため南宋に派遣されたが,賈似道によって長江揚子江)北岸の真州に16年間抑留された。1274年(至元11)元軍の総攻撃を前に,ようやく釈放され,翌年没した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「郝経」の意味・わかりやすい解説

郝経
かくけい
Hao Jing

[生]嘉定16 (1223)
[没]徳祐1 (1275)
中国,初の政治家,学者,文学者。沢州陵川(山西省晋城県)の人。字,伯常。家が貧しかったので,昼は働き夜読書に励んだ。フビライ・ハン世祖)に召されて認められ,フビライが即位する際に功があり,翰林侍読学士となった。国信使として南宋に赴き,賈似道の手で 15年間幽閉され,元軍の圧力によって帰されたが,翌 1275年没した。諡は文忠。『周易』(→易経)『春秋』などに深い学識をもつとともに,詩文に優れ,師の元好問とも並び称される。著書に『続後漢書』『春秋外伝』,詩文集『陵川集』がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の郝経の言及

【ガン(雁)】より

…この雁が上林苑で射落とされ,蘇武の消息が知れたという。同様の故事は,元の世祖の外交官の郝経(かくけい)が宋に抑留されたとき雁に帛書(はくしよ)を結んで北に飛ばせたということが《元史》に見える。旅人が雁の姿を見て望郷の思いをつのらせたのも,これらの話による。…

※「郝経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android