都城制(読み)とじょうせい

百科事典マイペディア 「都城制」の意味・わかりやすい解説

都城制【とじょうせい】

日本古代の宮都に影響を与えた中国古代都市の一類型。中国の場合,堅固な城壁で四周を囲んだ城郭都市構造を持つのが一般的で,内部は中央北よりの宮城を中心に碁盤目状に区画された条坊制をとる。日本では条坊制は施行されたが,城壁が構築されることはなかった。中国都城制を模倣しようとする試みは難波(なにわ)京・大津京でもあったが,律令体制の整備された藤原京において初めて計画に基づいた造営が行われ,平城京平安京定着
→関連項目白鳳文化

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「都城制」の解説

都城制
とじょうせい

日本古代に採用された首都の基本構造。天皇の住い官衙(かんが)を中心とする宮城と,条坊が施行されて官人をはじめ民衆の居住区となった京とで構成された。ふつうこの両者を備えたものを都城という。記紀や金石文によれば,日本では5世紀にはすでに「宮」が存在したと推定されるが,条坊をともなう京の出現は7世紀後半である。改新の詔にうかがわれる難波京や天武朝の倭京に日本の都城制の完成をみる見解もあるが,持統朝の藤原京ではじめて成立し,平城京で本格的に展開したとするのが通説である。この形式は中国の都城の制にもとづいたもので,とくに隋・唐の長安城や北魏の洛陽城の影響が考えられるが,城郭が発達しなかったことや宅地が一律に班給されたことなど,日本独自の性格が示されている。都城の成立とともに中国に匹敵する儀式空間が創出され,また都城の形成は律令制度そのものの成立,すなわち天皇を中心とする中央集権体制と官僚制の整備にも密接に関係していた。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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