都道府県労働委員会(読み)トドウフケンロウドウイインカイ

デジタル大辞泉 「都道府県労働委員会」の意味・読み・例文・類語

とどうふけん‐ろうどういいんかい〔トダウフケンラウドウヰヰンクワイ〕【都道府県労働委員会】

都道府県に置かれる労働委員会都道府県知事が任命する、使用者・労働者・公益を代表する委員各5人~13人で構成される。争議行為範囲が担当する都道府県内に限定されるものについて、不当労働行為審査などを行い、労働紛争斡旋あっせん調停仲裁にあたる。旧称地方労働委員会。→労働委員会

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「都道府県労働委員会」の意味・わかりやすい解説

都道府県労働委員会
とどうふけんろうどういいんかい

公務員、国有林野事業職員、特定独立行政法人の職員以外の労働者が関係する労働争議や団結権侵害事件を解決するため、労働組合法(昭和24年法律第174号)に基づいて各都道府県に設置されている行政委員会。略称、都道府県労委。以前は地方労働委員会とよばれていたが、2005年(平成17)に改称された。構成は、公益委員、労働者委員、使用者委員の三者からなっている(人数は三者同数とされ、東京都では各13人、大阪府各11人、北海道および神奈川・愛知兵庫・福岡各県は各7人、その他が各5人となっている)。労働者委員、使用者委員については、労働組合または使用者団体の推薦に基づいて都道府県知事が任命するものとされ、公益委員については、当該労働委員会の労働者委員および使用者委員の同意を得て都道府県知事が任命するものとされている。委員の任期は2年で、再任が認められている。これら三者の委員のなかで、実際には公益委員がもっとも重要な役割を担っており、都道府県労委の会長も公益委員のなかから委員の選挙によって選ばれる。都道府県労委の権限としては、不当労働行為の審査・判定、労働組合の資格審査およびその証明などの判定的機能と、斡旋(あっせん)、調停、仲裁という労働争議の調整的機能とがある。都道府県労委は、原則としてその権限の行使については独立しているものとされるが、労働争議の調整について、二つ以上の都道府県に及ぶ問題などは中央労働委員会が優先して取り扱う権限をもつ。

[木下秀雄・吉田美喜夫]

『道幸哲也著『不当労働行為救済の法理論』(1988・有斐閣)』『道幸哲也著『労使関係のルール 不当労働行為と労働委員会』(1995・旬報社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「都道府県労働委員会」の意味・わかりやすい解説

都道府県労働委員会
とどうふけんろうどういいんかい

労働組合法に規定された労働委員会の一つ。団体交渉などによって解決されない労使関係における紛争などを解決することを目的とし,都道府県知事の所轄のもとに設けられた行政委員会。都道府県知事が任命した使用者委員,労働者委員,公益委員の各 5~13人の同数委員によって構成され,会長は委員が公益委員のなかから選挙する。おもな任務は労働組合の資格審査,不当労働行為の審査,労働争議斡旋調停仲裁など(労働組合法 19~20条)で,管轄都道府県内の事件を取り扱う。労働組合の資格審査,不当労働行為の審査は公益委員のみがその権限を有する(24条)。不当労働行為の審査に対して,不服があれば使用者は中央労働委員会に再審査の申し立てをすることができる(27条15項)。2005年,地方労働委員会から現名称に変更。2008年の船員労働委員会廃止に伴い,集団的紛争の調整事務が移管された。なお委員会の委員,職員は公務員に準じて扱われる。

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