鄭てつ(読み)ていてつ(英語表記)Chǒng Ch'ǒl

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鄭てつ」の意味・わかりやすい解説

鄭てつ
ていてつ
Chǒng Ch'ǒl

[生]中宗31(1536)
[没]宣祖26(1593)
朝鮮,李朝前期の政治家,詩人。字,季涵,号,松江。 27歳で文科首席で及第し,晩年は宰相をつとめた。党争の激化する時代で,西人派の闘士と目され,東人派から敵視されて,生涯を通じて出仕,配流,隠退を繰返した。政治家,道学者というより,風流闊達で清談に巧みな詩人であり,逃避,酔楽を礼賛した作品が多い。漢詩と並んで歌辞 (カサ) ,時調 (シジョ) に数多くの秀作を残したが,特に『関東別曲』『思美人曲』『続美人曲』などの歌辞は不朽の名作。歌辞文学の第一人者といわれ,時調の尹善道とともに朝鮮詩歌史上双璧といわれる。『松江歌辞』のほか『松江集』『松江遺稿』などがある。

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