鄭衛の音(読み)ていえいのおん

改訂新版 世界大百科事典 「鄭衛の音」の意味・わかりやすい解説

鄭衛の音 (ていえいのおん)

中国で世の乱れを反映したみだらな音楽をいう。《礼記(らいき)》楽記篇に〈鄭衛の音は乱世の音なり……桑間濮(ぼく)上の音は亡国の音なり〉とあるが,鄭衛の音が具体的に何を指すかについては,《詩経》の鄭風,衛風だとする説や,鄭国で盛んであった男女の歌垣の歌をいう等の説があるが,むしろ春秋戦国時代に黄河中下流域の鄭や衛で栄えた都市文化に対し,古い農本的な心情をもつ儒家層が反感をこめて言ったのがこの言葉だと理解されよう。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の鄭衛の音の言及

【鐘】より

…音楽は祭礼のためだけでなく,生活の楽しみの一つになってきたところに,大編成の編鐘が生まれる原因があった。孔子が嘆いた淫らな音楽いわゆる〈鄭衛の音〉とはこのような音楽であった。【杉本 憲司】。…

※「鄭衛の音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android