酸化バリウム(読み)サンカバリウム(英語表記)barium oxide

デジタル大辞泉 「酸化バリウム」の意味・読み・例文・類語

さんか‐バリウム〔サンクワ‐〕【酸化バリウム】

炭酸バリウムを熱して得る、また、純粋なものは硝酸バリウムを強熱して得る、白色粉末。水と反応すると多量の熱を発生して水酸化バリウムとなる。化学式BaO バリタバライタ重土

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精選版 日本国語大辞典 「酸化バリウム」の意味・読み・例文・類語

さんか‐バリウム サンクヮ‥【酸化バリウム】

〘名〙 (バリウムbarium) バリウムの酸化物。化学式 BaO 等軸晶系白色粉末。脱水剤、バリウム塩原料、ガラス工業などに用いられる。重土。

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改訂新版 世界大百科事典 「酸化バリウム」の意味・わかりやすい解説

酸化バリウム (さんかバリウム)
barium oxide

化学式BaO。バライタ(バリタ)baryta,重土ともいう。白色の粉末。硝酸バリウムを熱すると純度の高いものが得られるが,工業的には炭酸バリウムを炭素とともに強熱して製造される。

 BaCO3+C─→BaO+2CO

炭酸バリウムだけを熱分解しても生ずるが,分解温度(約1500℃)が非常に高く,また過酸化物BaO2が生じやすいので,炭素で還元的に分解したほうがよい。融点1923℃,沸点約2000℃,比重5.98。水と反応すれば強く発熱して水酸化バリウムBa(OH2となり,二酸化炭素を吸収すれば炭酸バリウムBaCO3に容易に変化するなど,酸化カルシウムに似た挙動を示す。結晶構造もBa2⁺とO2⁻から成るNaCl型である。空気中または酸素中で500℃以上に熱すると過酸化バリウムBaO2となる。Ba(OH)2は水溶性の強アルカリとして,またBaO2は酸化剤として利用され,後者は過酸化水素の製造原料にもなる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「酸化バリウム」の意味・わかりやすい解説

酸化バリウム
さんかばりうむ
barium oxide

バリウムと酸素の化合物。重土、バライタともいう。水酸化物や硝酸塩の熱分解によって得られるが、解離圧が低いので、工業的には炭酸塩に炭素を加え、電気炉で1200℃以上に加熱している。

  BaCO3+C―→BaO+2CO
 白色の固体で六方晶系のものも存在する。酸化カルシウムに似た性質を示すが、化学的にはより活発で、多量の熱を発して水や炭酸ガスと反応し、水酸化バリウムや炭酸バリウムとなる。硝酸、塩酸などのほか無水アルコールにも溶ける。空気中で約550℃に熱すると過酸化バリウムとなる。

  2BaO+O2―→2BaO2
 水酸化バリウムの製造原料となるほか、脱水剤としても使用される。

[鳥居泰男]

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化学辞典 第2版 「酸化バリウム」の解説

酸化バリウム
サンカバリウム
barium oxide

BaO(153.33).バリウムの硝酸塩,炭酸塩,過酸化物,水酸化物を強熱して得られる.白色の粉末.密度5.72 g cm-3.融点1923 ℃,沸点約2000 ℃.水に溶かすとはげしく反応して水酸化バリウムを生じる.酸と反応してバリウム塩を生じる.空気中に放置すると二酸化炭素を吸収して炭酸バリウムとなる.酸素と熱すれば過酸化バリウムとなる.脱水剤,乾燥剤,有機合成用触媒,炭酸ガス吸収剤,潤滑油添加剤,バリウム塩の製造,真空管やブラウン管の陰極材,ガラス工業などに用いられる.有毒.[CAS 1304-28-5]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「酸化バリウム」の意味・わかりやすい解説

酸化バリウム
さんかバリウム
barium oxide

化学式 BaO 。無色粉末。融点 1923℃,比重 5.98。強アルカリ性,吸湿性で,空気にさらすと空気中の二酸化炭素を吸収する。有毒。水に溶けて水酸化バリウム Ba(OH)2 を生じる。この水溶液をバリタ水という。 450℃で酸素と化合し,過酸化バリウム BaO2 を生じる。ガス,溶媒 (特にアルコール,アルデヒド,石油) の乾燥用に使われる。

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百科事典マイペディア 「酸化バリウム」の意味・わかりやすい解説

酸化バリウム【さんかバリウム】

化学式はBaO。比重5.72,融点1923℃,沸点約2000℃。バライタ,重土とも。酸化カルシウムに似た無色粉末。水に溶けて多量の熱を発生。空気中で強熱すると過酸化バリウムBaO2となる。水酸化バリウム等の製造原料,乾燥剤・脱水剤に利用。工業的には炭酸バリウムを炭素と電気炉中で熱してつくる。

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