日本大百科全書(ニッポニカ) 「野村兼太郎」の意味・わかりやすい解説
野村兼太郎
のむらかねたろう
(1896―1960)
経済史学者。東京・日本橋に生まれる。1918年(大正7)に慶応義塾理財科を卒業、助手となる。22年から3年間ヨーロッパに留学し、帰国後、教授に就任、西洋経済史を担当した。また、社会経済史学会の創立に努力し、代表理事などを歴任した。わが国における西洋経済史研究の開拓者の1人であり、ヨーロッパとくにイギリスにおける18世紀から19世紀にかけての経済史を研究し、その成果は『英国資本主義の成立過程』(1937)、『一般経済史概論』(1940)となって結実した。その後、日本経済史に関心が移り、実証的な研究に基づいて、『徳川封建社会の研究』(1941)、『五人組帳の研究』(1943)、『村明細帳の研究』(1949)などの優れた業績を生み出した。
[飯田 鼎]