金丸座(読み)カナマルザ

デジタル大辞泉 「金丸座」の意味・読み・例文・類語

かなまる‐ざ【金丸座】

香川県琴平町にある劇場。江戸後期の劇場建築遺構として貴重。

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日本歴史地名大系 「金丸座」の解説

金丸座
かなまるざ

[現在地名]琴平町琴平 愛宕町

琴平公園の登り口にある。旧金毘羅大芝居として国の重要文化財に指定されている。天保六年(一八三五)に芝居定小屋として金山寺きんざんじ町に建築、同年九月一八日の上棟式までの諸入用金合計は銀五八貫九三匁七分で、遊女の刎金までも充当したという。防火上の見地から昭和五一年(一九七六)に現在地に移築、復元された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「金丸座」の意味・わかりやすい解説

金丸座
かなまるざ

香川県琴平(ことひら)町にある江戸時代の芝居小屋。金毘羅(こんぴら)宮の祭礼のつど、金毘羅大芝居と称して芝居興行と富籤(とみくじ)場を兼ねた仮設の小屋が毎年建てられていたが、1835年(天保6)建築費の節約のため常小屋をつくることになり、大坂三座の大西(おおにし)芝居(後の浪花(なにわ)座)に倣(なら)ってつくられた。明治以後、稲荷(いなり)座、千歳(ちとせ)座、金丸座と名が変わり、正面の木戸回りは大阪の角(かど)座に倣って改造された。この建物は1975年(昭和50)町内から愛宕山(あたごやま)の麓(ふもと)に移築され、客席舞台楽屋回りは建築時の形に復原されたが、木戸回りは1898年(明治31)の改造の姿をとどめている。客席上は天井が張られず、桟敷(さじき)、花道(はなみち)のほか、奈落(ならく)や鳥屋(とや)に至るまで旧規が保たれ、江戸時代の芝居小屋を知る唯一の遺構であり、国の重要文化財に指定されている。回り舞台人力で動かす古風なもので、地面には足掛りの石が埋められている。1985年から本格的な歌舞伎(かぶき)公演が毎年春に行われるようになり、全国から観客を集めている。

[工藤圭章]


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