出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
たとえば政府紙幣,中央銀行の発行する銀行券(たとえば日本銀行の発行する壱万円札など),郵便切手,収入印紙のように,法律によってそれ自体に一定の価値が認められている証券をいう。無記名式で大量に発行され,通貨またはその代用物としての機能を持っている。手形・株券などの有価証券と類似の制度であるが,有価証券以上の強い流通性を求められるため,その移転方法は,最も簡易化されている。すなわち,いったん流通すれば,証券の所持人はつねに権利者と認められる。証券を取得したり,権利行使を認める者は,所持人が権利者であるかどうかについてなんらの注意義務も負わない。遺失・盗難によるものであることが明らかになった場合でも,これを喪失者に返還する義務を負わない。逆に金券を喪失した者も,除権判決(公示催告)によって,証券を無価値なものとすることができない。
なお,企業が労働者に賃金を支払うときに,現金の代りに交付した通帳・切符などの証票も金券と呼ばれる(〈現物給与〉の項目を参照)。これは企業が指定した特定の販売店でしか使用できず,証券の性質から見れば,ここでいう金券ではなく,記名式または無記名式の一覧払い証券(商品券の一種)である。
→有価証券
執筆者:清水 巌
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
貨幣の代用をする証書。法律によって、表示された金額の価値を公的に認められ、社会的に通用しうるもの(紙幣、収入印紙、郵便切手など)と、私的に作成され、限られた範囲でしか利用しえないものとがある。後者は会社などにおいて、その会社内、あるいは会社が指定した店舗の利用を促す目的で発行されるもので、賃金支払いに際して、現金のかわりにこの金券が用いられる場合がある。様式はさまざまであるが、代表的なものとしては、(1)金額を表示した紙幣と同様の形態のもの、(2)色によって金額を示す商品券式のもの、(3)購入品、数量、金額を表示してとじた通帳式のもの、などがある。
[横山寿一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…トラック・システムtruck system(実物賃金制度)ともよばれ,資本主義発展の初期に広範に存在した。イギリスでは,ときに,雇主は賃金の全額を現物で支払ったり,雇主またはその仲間の経営するトミー・ショップtommy shopsとよばれた売店でのみ使用可能な金券で賃金の一部を支払った。同様の金券は日本でも山札や金札とよばれ,明治・大正期に鉱山や土建業の飯場で広くみられた。…
※「金券」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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