金口(読み)こんく

精選版 日本国語大辞典 「金口」の意味・読み・例文・類語

こん‐く【金口】

〘名〙 (「こん」「く」はそれぞれ「金」「口」の呉音)
仏語。仏を尊んでその口をいう語。仏の金色の口。転じて、仏の言説
万葉(8C後)五・八〇二・序文「釈迦如来金口正説、等思衆生羅睺羅」 〔止観輔行‐一・一〕
② 尊ぶべき金科玉条。非常に尊いことば。金言
今昔(1120頃か)三「阿闍世王提婆達多(だいばだった)と得意・知音にして互に云ふ事を皆金口(こんく)の誠言と信ず」

きん‐ぐち【金口】

〘名〙 (「きんくち」とも)
タバコの口にくわえる部分金紙で巻いてあるもの。また、そういう巻きタバコ。金口煙草。
※桐の花(1913)〈北原白秋〉初夏晩春「金口(キングチ)の露西亜煙草のけむりよりなほゆるやかに燃ゆるわが恋
火皿吸い口の部分が金製キセル
蟹工船(1929)〈小林多喜二〉四「器用に金口(キングチ)をトントンとテーブルにたたいて」

きん‐こう【金口】

〘名〙
器物の口の部分を金属で作ったもの。
③ 雄弁でよい意見を多く出す口。〔日葡辞書(1603‐04)〕
④ 相手を敬ってその人の言葉をいう語。〔梁昭明太子‐七契〕

きん‐く【金口】

※文明本節用集(室町中)「唱門師 シャウモンシ 金口(キンク)打也」

かね‐ぐち【金口】

〘名〙 金銭の用件。金銭に関すること。
※歌舞伎・心謎解色糸(1810)二幕「ハテ、この男は、ちっと貴様に金口の相談があっての」

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デジタル大辞泉 「金口」の意味・読み・例文・類語

きん‐こう【金口】

雄弁で、りっぱな意見を言う人の口。また、りっぱな言葉。
器物の口の部分が金属になっているもの。
こんく(金口)

こん‐く【金口】

仏語。釈迦しゃかの口を尊んでいう語。転じて、釈迦の説法。きんく。きんこう。
非常に尊い言葉。金科玉条。

きん‐く【金口】

こんく(金口)

きん‐ぐち【金口】

吸い口に金紙を巻いた巻きタバコ。
火皿と吸い口が金製のキセル。

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普及版 字通 「金口」の読み・字形・画数・意味

【金口】きんこう

玉言。

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