金川(読み)かねがわ(英語表記)Jin-chuan; Chin-ch`uan

日本歴史地名大系 「金川」の解説

金川
かねがわ

甲府盆地の南東部、御坂みさか(一五九六メートル)清八せいはち(一五三一メートル)など御坂山地に源を発して北西に流れ、御坂町藤野木とうのきを経て同町上黒駒かみくろこまに下り、同町若宮わかみや付近を出口として甲府盆地に広大な金川扇状地を形成する。さらに御坂町と一宮町境を流下して同町国分こくぶで一宮町域に入り、石和いさわ町の鵜飼うかい上流部で南西に屈曲して笛吹川に合流する。流路延長一五・二キロ、一級河川。流域は新第三紀御坂層群の堆積岩による上流部と石英閃緑岩の中流部で構成され、地質的には山腹崩壊の起こりやすい状況にあり、しかも直流する河川の傾斜が急なため昔から災害が多発した地域であった。また下流の扇状地では氾濫原となって金川原かねがわばらとよばれた。

川名は源流部にある金窪に由来するといわれ、「甲斐国志」に「金窪ト云ハ古ヘ金礦ナドアリテ金川ノ名起リシカ」とある。かつては石和町内で屈曲する辺りで現在の笛吹川に合流していたといわれ、これより下流の笛吹川を鵜飼川ともよんでいた。日蓮が石和川(笛吹川)で鵜飼の漁夫の霊を済度したという、謡曲でも知られた故事から名付けられた川名であるが、本来は石和川の別称であった。「甲斐国志」に石禾いさわ河として「鵜飼河ト呼ビシトモ云何レノ頃カ河流転変シテ(中略)笛吹河ト呼ブ涸迹ハ尽ク耕田トナレリ金河ハ一流ト成タレドモ昔会注セシ処ヨリ末ヲバ猶鵜飼河ト云フ」とある。また金川原は狩野原とも書かれたこともあり、「甲斐国志」は狩野かの川とよばれた可能性を記している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「金川」の意味・わかりやすい解説

金川
かながわ

岡山県中央部、岡山市北区御津(みつ)地区の中心地。旧金川町は1953年(昭和28)宇垣町など6町村と合併して御津町となり、御津町は2005年(平成17)岡山市に編入された。中世には守護松田氏の金川城があり、近世は岡山藩家老日置(ひき)氏1万6000石の陣屋町。また旭(あさひ)川舟運の川湊(かわみなと)として栄えた。明治以降も御津郡の行政中心地。近世に禁教となった日蓮宗不受不施(ふじゅふせ)派の本山妙覚寺(みょうかくじ)がある。国道53号が通じ、JR津山線金川駅がある。

[由比浜省吾]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金川」の意味・わかりやすい解説

金川
きんせん
Jin-chuan; Chin-ch`uan

中国,四川省の北西部の大金川,小金川の流域一帯をさす。両河川の流域で金を産出するため,この地名となったという。金川は酷寒,不毛の山岳地帯で,隋代に金川県がおかれ,唐代に維州となったが,チベット族がこの流域を支配し,中国化は進まなかった。明朝では雑谷安撫司がおかれて土司政策がとられたが,清朝もこれを継承して小金川,大金川の首領に土司を授けた。乾隆 12 (1747) 年に反乱 (2年後平定) を起し,さらに乾隆 36 (1771) 年に再び反乱を起したため清朝は5年に及ぶ平定戦争を展開した。そののちにこの地方に改土帰流政策を展開し,四川省に直属させて中国化を進展させた。

金川
かながわ

岡山県南部,岡山市北部,旭川の中流域にある旧御津町の中心地区。旧町域。 1953年合体により御津町となる。戦国時代には備前守護であった松田氏の居城があり,備前国,美作国の要地であった。近世岡山藩は腹心の重臣を封じて,北部の支配と軍事的防衛の拠点とした。 JR津山線の金川駅がある。妙覚寺は日蓮宗不受不施派の本山で,近世にはキリシタンと同様迫害を受けた。

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事典・日本の観光資源 「金川」の解説

金川

(山梨県笛吹市)
ふるさとの水辺百選」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

世界大百科事典(旧版)内の金川の言及

【御津[町]】より

…旭川中流域に位置し,岡山市の北に隣接する。旭川と宇甘(うかい∥うかん)川の合流点にある中心集落の金川(かながわ)は,南北朝時代に備前守護代松田氏が築いた玉松城の城下町で,江戸時代には岡山藩の家老日置氏の陣屋が置かれ,また旭川水運の河港,津山街道の宿場町として栄えた。中央部をJR津山線,国道53号線が通る。…

※「金川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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