金管理法(読み)きんかんりほう

改訂新版 世界大百科事典 「金管理法」の意味・わかりやすい解説

金管理法 (きんかんりほう)

政府が対外決済の準備にあてるためにの強制的買上げをし,あわせて金取引実態を調査するための法律(1953公布)。1937年の産金法以降,金使用規則(1939公布),金買上規則(1940公布)等にもとづき,日本においては金の自由販売が禁じられ,すべての金地金,金製品は政府に売り渡すべきものとされていた。第2次大戦後,1950年に貴金属管理法が制定され産金法は廃止されたが,金地金の国内取引は統制されていた。53年制定の本法(1952年公布の金管理法の全面改正法)により金取引の統制が撤廃され,金鉱物の製錬または採取によって得た粗金の一部を政府が強制的に買い上げ,他は自由な販売を認める制度となった。政府の強制的買上げの割合は取得粗金の1/3から出発したが,その後減少していき,55年には5%となった。さらに68年4月30日以降は,当分の間という留保つきながら,強制的買上げは実施されていない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金管理法」の意味・わかりやすい解説

金管理法
きんかんりほう

昭和 28年法律 62号。対外支払準備にあてるため,政府が金を買上げるとともに,金取引の実態を調査することを目的として定められた。これにより粗金を取得したものは,これを地金に精製して一定期間内に政府に対して売却することが義務づけられた。その後「金管理法施行令」が制定され,政府に対する売却量が定められたが,1968年以降のものについては,臨時特例法により政府に対する売却義務が停止され,全量を自由に販売することが可能になった。しかし金取引に対する報告義務は依然として存続した。

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百科事典マイペディア 「金管理法」の意味・わかりやすい解説

金管理法【きんかんりほう】

対外決済の準備にあてるために政府が金を買い上げるとともに,金の取引の実態を調査することを目的とする法律(1953年)。新産金地金の政府への売却義務,買入価格,金の取引の実態調査のための報告を徴することなどについて定める。なお,政府の強制的買上げの割合は取得粗金の3分の1から出発したが,その後減少していき,1968年4月30日以降は当分の間という留保つきながら,強制的買上げは実施されていない。

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世界大百科事典(旧版)内の金管理法の言及

【金】より

… 日本では1931年の日本銀行金買入法によって国産金は政府による集中管理となり,これが戦後には50年の貴金属管理法に引き継がれた。52年には白金,銀を除外し金管理法になった(1953年全面改正)。この金管理法では国産金の一部を自由に販売することが認められ,その割合も当初の67%から54年73%,55年95%と拡大,68年以降は全量自由販売となった。…

【銀】より

…海外鉱からの副産物等を含めた総供給量は増加傾向にあり,96年には国内生産2213t(国内鉱山からの生産は1993年に137t),輸入1253tに達した。 日本では1952年に貴金属管理法が金管理法に改まった結果,銀は金に先がけて自由に販売できるようになった。統制撤廃直前の政府買入値は1kg9700円。…

※「金管理法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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