針妙(読み)しんみょう

精選版 日本国語大辞典 「針妙」の意味・読み・例文・類語

しん‐みょう ‥メウ【針妙】

〘名〙
宮中の高級女官の私室に仕え、裁縫などをした上級女中
無名抄(1211頃)「さるほどなるなま身命のきぬぬすみて、小袖になして着たるやうになん覚ゆる」
② 寺で裁縫をする女。寺院では女人禁制だったので、裁縫女の名目でひそかに妻女を置く寺もあった。
③ 一般の家庭にやとわれて裁縫をする女。裁縫専門の女奉公人。遊郭でいう「お針」、大名邸でいう「お物師」にあたる。
政談(1727頃)一「此四十五年以前は、若党の切米二両計り、中間は三歩一両、針妙一両計り、婢女一二分成しを」
※雑俳・柳多留‐一三(1778)「しんめうをおはりと言てしかられる」

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デジタル大辞泉 「針妙」の意味・読み・例文・類語

しん‐みょう〔‐メウ〕【針妙】

宮廷女房の私室にいて、主に裁縫をする上級の女中。
「なま―の、衣盗みて小袖になして着たる」〈無名抄
一般の家庭や寺院で、裁縫をさせるために雇う女。寺院では女人禁制であったので、この名目で妻を置く所もあった。
「―のすわったなりに灯がとぼり」〈柳多留・初〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の針妙の言及

【針子】より

…お針子ともいう。日本では,近世に裁縫を〈お針〉とか〈針仕事〉と呼ぶようになり,江戸時代には大名などの衣服を仕立てる呉服所で,針妙(しんみよう)と呼ばれる裁縫をする女性が働いていた。裁縫技術は,江戸では家庭で身につけるのが一般的であったが,上方では縫物師のところや寺子屋でも習得した。…

【和裁】より

…今日のような繊細な縫い方が行われるようになったのは,小袖が定着した江戸初期ころという。それ以前の裁縫職の女性の針妙(しんみよう)のほか,専門の仕立屋もあったが,一般家庭では家族のための和服をまかなうために和裁ができることを嫁入りの条件として娘たちに習得させた。明治時代からの学校教育でも女子の裁縫科目があり,塾もあった。…

※「針妙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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