鈍川温泉(読み)にぶかわおんせん

日本歴史地名大系 「鈍川温泉」の解説

鈍川温泉
にぶかわおんせん

[現在地名]玉川町鈍川 楠窪

古くは湯野谷ゆのたに楠窪湯くすくぼのゆなどとよばれた。源泉小松こまつはら木地きじ湯之谷ゆのたに南宮之谷みなみみやのたににあって、渓谷の岩隙より噴出している。近年の開発により愛媛県を代表する温泉の一つとなった。

天平六年(七三四)および同一七年の地震で湯が止まり、それ以降泉量・温度ともに低下したとの伝えがあるが、中近世の記録には出ない。ただ付近は藩主の狩猟場で、薬草園などもあった。村民は渓谷から湯を汲んで帰り、自家の浴用としていたようである。明治六年(一八七三)の「冷硫黄泉広告」によると、明治四年に「旧今治藩知事久松公、世人ノ為多分ノ費ヲ厭ハス、岩石ヲ砕破シ山渓ヲ開拓シ、新ニ浴場ヲ建築シテ(中略)廃藩ノ事アリ因テ余輩之ヲ官ニ請テ、公ノ志ヲ続キ養生処数軒ヲ建」とあり、数年は繁栄したようである。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鈍川温泉」の意味・わかりやすい解説

鈍川温泉
にぶかわおんせん

愛媛県北部、今治(いまばり)市玉川町にある温泉。蒼社(そうじゃ)川の支流玉川上流にある木地(きじ)川渓谷の花崗(かこう)岩脈亀裂(きれつ)から湧出(ゆうしゅつ)する鉱泉で、1960年(昭和35)から泉源の開発が進められ、宿泊施設等も整った。泉質はアルカリ性の単純温泉。付近に花崗閃緑(せんりょく)岩の鈍川渓谷や玉川ダムがあり、奥道後(どうご)玉川県立自然公園となっている。JR予讃(よさん)線今治駅からバスの便がある。

[深石一夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鈍川温泉」の意味・わかりやすい解説

鈍川温泉
にぶかわおんせん

愛媛県北部,高縄半島中央部の玉川渓谷にある温泉。今治市に属する。泉質は単純泉。泉温は 23℃。神経痛などにきくといわれる。ヘルスセンター国民宿舎があり,観光・保養客が多い。付近には鈍川渓谷,国の名勝千疋のサクラなどがあり,サクラや紅葉季節には特ににぎわう。

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