銭塘江(読み)セントウコウ

デジタル大辞泉 「銭塘江」の意味・読み・例文・類語

せんとう‐こう〔センタウカウ〕【銭塘江】

中国浙江せっこう省を流れる川。仙霞嶺山脈に発し、杭州湾に注ぐ。河口では海嘯かいしょうを生じ壮観を呈する。長さ494キロ。浙江チエンタンチアン

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精選版 日本国語大辞典 「銭塘江」の意味・読み・例文・類語

せんとう‐こう センタウカウ【銭塘江】

中国、浙江省北部を流れる大河三国時代、潮害を防ぐため銭を一般から募って堤を築いたところからいう。江西省との省境にある懐玉山脈に源を発し、東北流して杭州湾に注ぐ。狭義には杭州市から下流をいう。河口部は海嘯(かいしょう)(=満潮時に立つ高波)で有名。浙江。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「銭塘江」の意味・わかりやすい解説

銭塘江
せんとうこう / チエンタンチヤン

中国、浙江(せっこう/チョーチヤン)省を流れる大河。浙江ともよばれ浙江省の名の起源となっているが、これは屈曲が多いためといわれる。全長494キロメートル、流域面積5万4349平方キロメートル。上流の常山港は浙江・安徽(あんき/アンホイ)・江西(こうせい/チヤンシー)3省の境界にある青芝埭尖(せいしれいせん)に源を発し、衢州(くしゅう/チュイチョウ)市の西で江山港と合流して信安江となる。その後、東流して、蘭渓(らんけい/ランシー)県付近で金華江をあわせて蘭江となり、建徳(けんとく/チエントー)県で新安江(しんあんこう/シンアンチヤン)と合流して桐廬(とうろ)に至るまでを桐江と称する。さらに桐廬から蕭山(しょうざん)県聞堰(ぶんえん)までの間を富春江(ふしゅんこう/フーシュンチヤン)とよび、聞堰から杭州(こうしゅう/ハンチョウ)市閘口(こうこう)までは河道が「之」の字のように曲折しているところから之江(しこう)という。銭塘江とよばれるのは閘口から下流で、三角江をなし杭州湾に注ぐ。河口が三角江で潮の干満の差が著しく、大潮の際には海水が逆流して壮観を呈し、「銭塘潮」として有名である。本流は流れが速いため、小汽船は建徳県より下流にしか通じないが、増水時には蘭渓まで遡航(そこう)できる。上流部の諸河川は短い急流で谷は深く刻まれ、峡谷や浅瀬が多いが、包蔵水力が豊富で、解放後、新安江、富春江、黄壇口(こうだんこう)などに水力発電所が建設され、とくに新安江水力発電所は65万2000キロワットの出力でもっとも規模が大きい。

[林 和生]

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改訂新版 世界大百科事典 「銭塘江」の意味・わかりやすい解説

銭塘江 (せんとうこう)
Qián táng jiāng

中国,浙江省第一の川。浙江,安徽,江西の3省境界地帯に源を発し,北東に流れて杭州湾に注ぐ。とくに下流部はよく曲折しているため浙江ともよばれ,省名もこれに由来する。全長494km,流域面積5万4000km2。主流の中上流部は富春江,桐江,蘭江などと呼ばれ,新安江,浦陽江,金華江などが支流の大きなもの。流域には浙江内陸の主要な都市が集中し,中流部の盆地平野は広い農耕地を提供する。河口部から杭州湾に移行する部分は,以前はもっと広く,北からの長江(揚子江)デルタの伸長と,潮流の変化によって現在のようならっぱ状の形となった。その結果,満潮時には潮流と河水が衝突して海嘯(かいしよう)をおこし,毎年8月のピークに達するときには銭塘潮あるいは海寧潮と称して古くより文人によって詩にうたわれたり,絵に描かれ,今日も観光の対象となっている。
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百科事典マイペディア 「銭塘江」の意味・わかりやすい解説

銭塘江【せんとうこう】

中国,浙江省の川。別名は浙江,漸水。仙霞嶺に発源,北東流して省北西部を貫流し,杭州湾に入る。曲折が多く場所によって名称が変わる。流域は浙江省の大半を占め,米・麦・綿・繭・茶の生産が多い。河口での海嘯(かいしょう)は有名。全長約410km。
→関連項目建徳杭州

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「銭塘江」の意味・わかりやすい解説

銭塘江
せんとうこう

チエンタン(銭塘)江」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の銭塘江の言及

【浙江[省]】より


【形勢と位置】

[地勢]
 中国華中南東部の省。浙と簡称する。面積約10.2万km2。人口4343万(1996)。省域の80%は山地で,平地は北部の杭州湾沿岸(浙北平野)と,銭塘江の中流部に開ける盆地(金衢盆地)が大きなもので,あとは銭塘江の支流や,霊江,甌江などの河川が山地中につくる小盆地や,海岸の湾奥に形成される小平野である。山地は,銭塘江より西に天目山地があり,安徽省との境をなす。東には会稽山,天台山,仙霞嶺,括蒼山,雁蕩山などが南西より北東に走り,福建との境をなす。…

※「銭塘江」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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