錦手(読み)にしきで

精選版 日本国語大辞典 「錦手」の意味・読み・例文・類語

にしき‐で【錦手】

〘名〙 白釉陶磁器の釉上に、赤絵の具を基調にして黄・緑・青・紫・黒などの色絵の具で文様を描き、焼き付けたもの。江戸初期に中国から輸入され、肥前佐賀県有田地方で始められた。五彩。赤絵。色絵。
※俳諧・口真似草(1656)一「錦手の梅鉢ならし花の色〈正信〉」

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デジタル大辞泉 「錦手」の意味・読み・例文・類語

にしき‐で【錦手】

赤・緑・黄・青・紫などで上絵うわえをつけた陶磁器。五彩色絵赤絵などとほぼ同義で、古伊万里などで多く用いられる呼称

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改訂新版 世界大百科事典 「錦手」の意味・わかりやすい解説

錦手 (にしきで)

白磁や白い陶胎の釉上に赤,黄,緑,紫,青,黒などの色釉(いろぐすり)や金,銀彩で上絵付(うわえつけ)した陶磁器の日本での総称。日本では単に赤絵,色絵ともいい,中国では五彩(ごさい)とも呼ぶ。江戸時代の初期に中国から輸入された,明末の嘉靖の五彩磁,金襴手(きんらんで),万暦赤絵や,清初の南京赤絵,色絵祥瑞(しよんずい)などの影響を受け,肥前有田では磁胎の錦手が,京都では陶胎の錦手が始められた(有田焼)。ことに有田では釉下に染付で文様を表し,釉上に色絵や金彩を施した豪華な趣の錦手が作られたが,これはとくに染錦手と呼ばれる。
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