鎌倉大草紙(読み)かまくらおおぞうし

改訂新版 世界大百科事典 「鎌倉大草紙」の意味・わかりやすい解説

鎌倉大草紙 (かまくらおおぞうし)

室町時代戦記。3巻。異称太平後記》。1379年(天授5・康暦1)の上杉憲春諫死(かんし)から1479年(文明11)の太田道灌臼井城攻略までの,約100年間にわたる関東動静を記すが,応永末年から1439年(永享11)までの記事を欠いている。作者,成立年代ともに不詳であるが,歌人東常縁の系統をひく者の作とする説もあり,歌学・文学史研究の好史料でもある。《改訂史籍集覧》《群書類従所収
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鎌倉大草紙」の意味・わかりやすい解説

鎌倉大草紙
かまくらおおぞうし

室町時代の合戦記。『太平後記』ともいわれる。全3巻。著者は東常縁(とうつねより)の流れをくむ歌人とする説もあるが未詳。成立年代も不詳であるが、戦国期から近世初頭とされている。1379年(天授5・康暦1)より1479年(文明11)までの100年間の関東の政治動向を各年ごとに記したものである。関東における南朝の活動、鎌倉公方(くぼう)の動き、上杉・千葉・結城(ゆうき)氏らの対立・抗争、鎌倉府内の対立から起こった上杉禅秀(ぜんしゅう)の乱、将軍と鎌倉公方の確執から始まった永享(えいきょう)の乱、さらには結城合戦などの内乱が扱われており、15世紀における東国の政治情勢を知るうえで重要なものである。『改定史籍集覧』、『群書類従』合戦部所収。

[伊藤喜良]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鎌倉大草紙」の意味・わかりやすい解説

鎌倉大草紙
かまくらおおぞうし

『太平後記』ともいう。史書。3巻。作者,成立年未詳。天授5=康暦1 (1379) 年から文明 11 (1479) 年の間における鎌倉公方,関東管領を中心に,関東の政治的事件を編年体に記したもの。君臣父子の秩序を説く道徳的な意図をもつ。『群書類従』『史籍集覧』所収。

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