鎌倉夫(読み)かまくらふ

改訂新版 世界大百科事典 「鎌倉夫」の意味・わかりやすい解説

鎌倉夫 (かまくらふ)

鎌倉時代以降,荘園公領の住民に賦課された夫役の一種。関東人夫役ともいう。守護地頭などが,鎌倉番役などを勤めるために,配下の住民らをひきつれて鎌倉にむかい,雑役に服させた。鎌倉に地頭が居住しているときには,その所領から一定数の人夫を日数を限って呼びよせ,雑事に使役させる場合もあった。京上夫荘園領主の管轄下にあったのに対して,鎌倉夫は地頭などの支配統轄下にあった。南北朝以降,夫役の銭納化がみられるが,〈鎌倉夫料足〉の用例のように,鎌倉夫も負担軽減を願う住民らによってしだいに代銭納化されていった。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「鎌倉夫」の解説

鎌倉夫
かまくらふ

坂東夫・関東人夫役とも。鎌倉時代,鎌倉に徴発される夫役,また徴発された人夫。御家人役として幕府から徴発される場合と,地頭・御家人の鎌倉出向・滞在の際に雑用を勤めたり,関東御公事(みくうじ)の運搬のために徴発される場合がある。後者について西国では,地頭はそのための夫銭・夫物を徴収するのが一般的で,荘園領主が荘民に鎌倉夫を課した例もみられる。

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