長野垤志(読み)ながのてっし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「長野垤志」の意味・わかりやすい解説

長野垤志
ながのてっし
(1900―1977)

鋳金家、釜師(かまし)。愛知県生まれ。本名松蔵。初め洋画家を志したが、鋳金に転じ、山本安曇(あずみ)、ついで香取秀真(かとりほつま)に師事した。1927年(昭和2)帝展に初入選し、33年同展出品の『青銅方盤』が特選となり、審査員などを務めたが、のち日展を離れ、日本伝統工芸展に出品。理事・審査員としても活躍した。作品は梵鐘(ぼんしょう)、花瓶置物などのほか、とくに釜の制作をもっとも得意とし、高い芸術性と格調のある現代茶の湯釜を生み出し、また砂鉄による和銑(わずく)釜の鋳造法を復原した。63年(昭和38)重要無形文化財保持者に認定。釜に関する学問的研究にも造詣(ぞうけい)が深く、『蘆屋(あしや)の釜』『天命(てんみょう)の釜』『茶の湯の見方』などの著書がある。

[原田一敏]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「長野垤志」の解説

長野垤志 ながの-てつし

1900-1977 昭和時代の釜(かま)師。
明治33年10月28日生まれ。山本安曇(あずみ),香取秀真(ほつま)に師事。のち名古屋の釜師伊藤一正を知り,茶の湯釜を研究し,古作釜の技法様式を現代にいかした。昭和38年人間国宝。昭和52年7月14日死去。76歳。愛知県出身。本名は松蔵。著作に「あしやの釜」「天命の釜」,作品に「矢筈(やはず)釜」「松林図肩衝(かたつき)釜」など。

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