長音(読み)ちょうおん

精選版 日本国語大辞典 「長音」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐おん チャウ‥【長音】

〘名〙
① 長くのばして発せられる音。ちょういん。〔劉伶‐北芒客舎詩〕
② ある音節母音延長した発音。歌や臨時的強調のための延長もあるが、普通には語音として定まった、通常の短い音節の二倍の長さに延ばすものをいう。「おかあさん」「おとうさん」の「かあ」「とう」の部分など。これらを「かの長音」「との長音」などという。
東京新繁昌記(1874‐76)〈服部誠一〉二「各々唱ひ、声々異なり、長音耶許声(〈注〉きやり)に変る者は問はずして役夫なるを知り」

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デジタル大辞泉 「長音」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐おん〔チヤウ‐〕【長音】

長くのばして発音する音。⇔短音
音声学上の用語。ある音節母音を長くのばした発音。普通には語音として定まった、通常の短い音節の2倍の長さにのばすもの。例えば、「おかあさん」の「かあ」の部分は「かの長音」という。
[類語]清音濁音半濁音清濁鼻濁音撥音促音

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「長音」の意味・わかりやすい解説

長音
ちょうおん

長く引き延ばして発せられる音。「お母(かあ)さん」「十(とお)」「お姉(ねえ)さん」「小(ちい)さい」「数(すう)」「多(おお)い」のカー、トーネーチースー、オーを、一般にカの長音、トの長音、ネの長音、……というようによぶ。普通の長さ(1音節)の2倍の長さ(2音節)と意識されている。これを音韻論的にどう位置づけるかは説が分かれるが、金田一(きんだいち)春彦は、短い音節のあとに「引き音節」(長音音素)がついたものと解釈する。現代東京語では、オバサンとオバーサン、オニさん(鬼さん)とオニーサンなどの対立例が示すごとく、長音と短い音ははっきり区別されているが、平安時代までさかのぼると、このような明確な区別はなかったと考えられる。漢語の場合は、たとえば、「塀」はていねいな発音ではヘイであるので、これをヘの長音とはみないのが普通である。また活用語の末尾、たとえば「食う」「聞いて」「美しい」を長音とみるかどうかは説が分かれる。

[安田尚道]

『金田一春彦著『日本語音韻の研究』(1968・東京堂出版)』『服部四郎著『新版 音韻論と正書法』(1979・大修館書店)』

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百科事典マイペディア 「長音」の意味・わかりやすい解説

長音【ちょうおん】

音声学用語。長母音長子音をさすこともあるが,一般的には音節における長音をいう。たとえばア[a]に対するアー,キ[ki]に対するキー

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