開教使(読み)かいきょうし

改訂新版 世界大百科事典 「開教使」の意味・わかりやすい解説

開教使 (かいきょうし)

仏教宣布のため外国への布教をはかるべく教団が海外に派遣した僧侶。海外枢要地に別院,支院,布教所,教社などを設置した。日本の仏教教団,なかでも真宗本願寺派と大谷派は,日本人の海外移住にあわせ,シベリア満州,ハワイ,北米西海岸へ明治20年代ころより布教のため僧侶を派遣した。海外伝道体制は,日清・日露戦争による日本人の海外進出により,組織的に整備された。大谷派では,1906年8月に海外開教条規で,海外布教に従事する者を開教使,布教監督,布教員と,はじめて宗法上に位置づけた。この名称は,1927年3月の改定で開教使,開教監督,開教員となった。開教使,開教員は,1941年の補任宗則によれば,大学卒業者または同等以上の学力のある者で布教実歴を有する者を補任した布教使,布教員のなかから任命すると定められていた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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