関契(読み)かんけい

精選版 日本国語大辞典 「関契」の意味・読み・例文・類語

かん‐けい クヮン‥【関契】

〘名〙 令制で規定する関所の通行証。三関の国(伊勢国鈴鹿関・美濃国不破関・越前国愛発関)に各二枚与えられ、二〇人以上の軍隊が関所を通過するときに用いられる。後世儀式に際して擬似的に木で作り二片に割り、各片を朝廷と三関の国が分有する木契(もっけい)が作られた。〔令義解(718)〕

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デジタル大辞泉 「関契」の意味・読み・例文・類語

かん‐けい〔クワン‐〕【関契】

律令制で、非常の場合に軍隊が三関を通過するときに使用された割符わりふ

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世界大百科事典(旧版)内の関契の言及

【三関】より

…三関は天皇,太上天皇の病,没等の不穏な事態や,反乱が発生した際に固関使(こげんし)が派遣され閉鎖され,京における反乱者の東国逃亡,事態の波及の防止をめざした。三関国の国司は関契(木契)を保管したが,これは一種の割符で半片は後宮の蔵司が保管し,固関と開関のために用いられた。関所は過所(かしよ)を用いて通行したが,関の中でも三関は不法通行に対する刑がとくに重く,例えば過所なしで関を通過する私度の罪は徒1年とされた。…

【木契】より

…日本古代の律令制下で三関の開閉の際に用いられた木製の割符。関契ともいう。左右に分割され,左符は後宮の蔵司に保管され,右符は鈴鹿・不破・愛発(あらち)(のち逢坂)の3関のあった伊勢・美濃・越前(近江)にそれぞれ2枚ずつ支給され,国司が保管した。…

※「関契」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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