関西エアポート(株)(読み)かんさいえあぽーと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「関西エアポート(株)」の意味・わかりやすい解説

関西エアポート(株)
かんさいえあぽーと

関西国際空港関空)と大阪国際空港(伊丹(いたみ)空港)を運営する民間企業。公共施設の所有権を公共団体が保有したまま、運営権だけを民間へ売却するコンセッション(運営権売却)政策一環として、空港の運営を目的にできた日本初の民間企業である。2015年(平成27)12月1日に設立され、2016年4月1日に新関西国際空港株式会社から運営権を引き継ぎ、事業を始めた。本社を大阪府泉佐野(いずみさの)市の関西国際空港内に置く。株式会社形態をとり、資本金は250億円。オリックスとフランスの空港運営会社バンシ・エアポートVINCI Airportsがそれぞれ40%を出資し、残る20%を大阪瓦斯(ガス)、オムロン関西電力サントリーホールディングスダイキン工業パナソニック阪急阪神ホールディングスなど関西を代表する民間企業30社が分担した。新関西国際空港のほぼすべての従業員約480人を関西エアポートが引き継いだ。

 関西エアポートは新関西国際空港に対し、毎年490億円(総額約2兆2000億円)の運営権料を支払う。運営受託期間は2016年度から2059年度までとなり、その間に約1兆円を設備投資し、第4ターミナルなどを整備し、格安航空会社LCC)を誘致するほかヨーロッパ・北米路線の新設を進める。また、民間企業の知識と経験を活用し、バンシ・エアポートが海外で培った空港運営ノウハウも生かしながら、サービス向上や業務効率化につなげ、空港内・周辺でのホテル・商業施設事業を拡大し、着陸料以外の収入も増やす計画である。

[矢野 武 2016年11月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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