阪神高速道路(読み)はんしんこうそくどうろ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「阪神高速道路」の意味・わかりやすい解説

阪神高速道路
はんしんこうそくどうろ

大阪市、神戸市および京都市の一部とそれらの周辺地域において、自動車交通の円滑化を図ることにより、都市の機能を維持し、増進させることを目的としてつくられる有料自動車専用道路地域高規格道路に指定されており、1962年(昭和37)に発足した阪神高速道路公団建設・管理運営していたが、2005年(平成17)に民営化し、阪神高速道路株式会社に引き継がれている。当初は約52キロメートルの路線整備する予定であったが、順次延長され、2011年(平成23)12月時点で、約265キロメートルの路線の整備が予定されている(既開通区間を含む)。その内容は、(1)大阪市の中心部の環状線、(2)環状線から周辺地域へ放射状に延びる路線、(3)大阪市と神戸市をつなぐ神戸線、(4)大阪湾臨海部の埋立地をつなぐ湾岸線、(5)六甲(ろっこう)山の北側に位置する北神戸線、(6)神戸線と北神戸線をつなぐ神戸山手線、(7)京都市内の路線、などとなっている。1964年に大阪市内の一部区間2.3キロメートルが最初に開通して以来、1994年には関西国際空港と神戸を結ぶ大阪ベイエリアの大動脈である湾岸線が、2008年1月には京都市域初の都市高速道路である8号京都線が開通するなどし、2011年12月時点で、約246キロメートルの区間が開通している。1日当りの通行台数は約86万台に達し(2012年度)、この道路は、きわめて交通処理能力の大きい効率的な交通施設として、関西都市圏の物資輸送、都市活動などに大きく役だっている。

[下保 修]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「阪神高速道路」の意味・わかりやすい解説

阪神高速道路 (はんしんこうそくどうろ)

大阪市・神戸市を中心に阪神地区の諸都市を結ぶ自動車道路網。悪化する阪神都市圏の交通事情を改善するため,1962年5月に設立された阪神高速道路公団(2005年より阪神高速道路株式会社)が建設,管理している。また1994年度には京都市域においても高速道路建設事業に着手した。総延長200km,通行台数1日平均約93万台で料金収入は年間1657億円(1996年度)。同公団が建設大臣から基本計画によって建設指示を受けているのは,供用中のものを含めて257.3kmで,建設中が10路線あり,そのおもなものは大阪池田線(延伸部),淀川左岸線,神戸山手線,大阪京都線などである。すでに交通容量を超える区間も多く,第2環状線の整備なども必要とされる。1995年1月の阪神・淡路大地震によって全線に被害を受け,とくに神戸3号線の一部倒壊,崩落は阪神間の交通麻痺の大きな原因となったが,翌年9月にその復旧を終え,また橋脚の補強や作り替え,落橋防止装置,衝撃の伝達をやわらげる装置などの対策が各所で行われている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「阪神高速道路」の意味・わかりやすい解説

阪神高速道路【はんしんこうそくどうろ】

大阪市・神戸市を中心に京阪神地区の諸都市を結ぶ自動車道路網(高速道路)。1962年に設立された阪神高速道路公団が建設・管理している。営業キロ数は240.2km(16路線),料金収入は年間1890億円(2004年度)。1995年1月の兵庫県南部地震により全線に被害を受けたが,翌年復旧され,橋脚の補強や落橋防止装置などの対策もなされた。京阪神地域の都市ネットワークの整備,ETCをはじめITS(高度道路交通システム)を視野に入れた道路機能の高度化,道路構造物の安全対策,沿道環境対策などに取り組む。道路建設では大阪地区で都市再生環状道路の一部とされる淀川左岸線と大和川線,兵庫地区で神戸山手線南伸部の建設,京都地区では新十条通と油小路線の早期完成が目指される。また道路関係公団の民営化の方針を受け,2005年10月より民営化。
→関連項目日本道路公団

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android