阿片常用者の告白(読み)アヘンジョウヨウシャノコクハク(英語表記)Confessions of an English Opium Eater

デジタル大辞泉 「阿片常用者の告白」の意味・読み・例文・類語

あへんじょうようしゃのこくはく〔アヘンジヤウヨウシヤのコクハク〕【阿片常用者の告白】

《原題Confessions of an English Opium-Eaterドクインシーの自伝的小説。1822年刊。増補改訂版は1856年刊。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿片常用者の告白」の意味・わかりやすい解説

阿片常用者の告白
あへんじょうようしゃのこくはく
Confessions of an English Opium-Eater

イギリスの作家トマス・ディ・クウィンシー自伝小説。1822年刊。ウェールズにおける少年時代の放浪ロンドンでの窮乏生活、その間にアヘンを覚えたいきさつとそれにまつわる恐るべき体験とが、告白体の美しい文章で写実的に語られている。やがて主人公は死の恐怖から一大決心のすえ、ついにこの「呪(のろ)うべき鎖」から解放される。この点に作者は「有益にして教訓的」な意図をこめたといわれるが、教訓的であるとか刺激的事実の告白であるという以前に、これは当代散文の典型的傑作の一つであり、われわれにとっての興味ももっぱらその点にある。1856年に改訂増補版が出た。

[前川祐一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「阿片常用者の告白」の意味・わかりやすい解説

阿片常用者の告白
あへんじょうようしゃのこくはく
Confessions of an English Opium Eater

イギリスのエッセイスト,T.ド・クインシーの自伝的随筆。『ロンドン・マガジン』 1821年9,10月号に発表され,22年初版,56年増補版。少年時代のこと,マンチェスター・グラマー・スクールからの脱走,ウェールズ,ロンドンでの放浪生活を興味深く描いたあと,オックスフォード大学在学中,最初は肉体的精神的苦痛をやわらげる目的でアヘンを飲みはじめ,最後には1日 8000滴という大量のアヘンチンキを用いる悪習に陥った経過を語る。次に,8年間のアヘン常用の副作用,特に恐ろしいアヘン夢を記述し,死の危険におびえてこの悪習の克服を決心したことを述べる。そして毎日の服用量の減量とそれに伴う大きな苦痛を描き,終りに非常な努力の結果この悪習から脱出したことを述べる。特異な内容と文体とによって著者の文名を確立した作品。

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