院近臣(読み)いんのきんしん

山川 日本史小辞典 改訂新版 「院近臣」の解説

院近臣
いんのきんしん

院・女院(にょいん)の身辺近侍した上中級廷臣。院庁・女院庁の職員として院中の庶務をつかさどるとともに,多く受領(ずりょう)を歴任することでえた富により,院政経済面から支えた。代表的な院近臣として,白河院政の藤原顕隆(あきたか)・高階為章(たかしなのためあき),鳥羽院政の藤原顕頼(あきより)・藤原家成(いえなり),後白河院政の藤原信頼藤原隆季(たかすえ)らがあげられる。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社日本史事典 三訂版 「院近臣」の解説

院近臣
いんのきんしん

上皇側近にあって院政を推進した廷臣
受領 (ずりよう) 層や,上皇・天皇乳母の血縁者が多く,院政を経済面で支えた。摂関政治における上級貴族に対して,院政期には中・下級貴族が院近臣として勢力を伸張した。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の院近臣の言及

【院政】より

…院宣は上皇の側近が命を奉じて書く書状形式の文書で,内容にも用途にも制約がなかったが,院政は院宣によって国政機関を運用するところに成り立ったということもできる。また専制的な上皇の耳目となり,手足となって活躍したのが中流以下の貴族層に属する院近臣である。彼らは院司として院中の実務を掌握するとともに,上皇の側近に常侍して諸司・諸人の奏請を取り次ぎ,上皇の指示を下達した。…

※「院近臣」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android