陣取(読み)じんどり

精選版 日本国語大辞典 「陣取」の意味・読み・例文・類語

じん‐どり ヂン‥【陣取】

〘名〙
① 陣取ること。陣を構えること。また、その場所
※応永本論語抄(1420)衛霊公第一五「然と雖も陳取を習たる斗にては用にたたず」
② 周囲が篠垣(しのがき)だけの粗末な陣営
③ 自分の占める場所を定めること。また、その場所。
最暗黒之東京(1893)〈松原岩五郎〉三四「甲家族は北の隅、乙家族は西の隅、丙は左側丁は右側と銘々座舗の片隅に陣取(ヂンドリ)して飲食し」
④ (「じんとり」とも) 明治中期以後行なわれた子どもの遊びの一つ。二組に分かれ、総人員より少ない円陣を用意し、掛け声合図にその陣地を奪い合い、円陣に走り込むことのできなかった子どもの多い組を負けとする。
※崖の下(1928)〈嘉村礒多〉「運動場からは陣取りや鬼ごっこ嬉戯の声が聞えて来るのに」

じん‐ど・る ヂン‥【陣取】

〘自ラ五(四)〙
敵陣を攻めて奪い取る。
② 陣地をつくり敵に対する。
太平記(14C後)三七「宰相中将殿は二日より東寺に陣取て」
③ その場所を占拠する。座を占める。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉一「冬は炉の横坐に陣取って」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「陣取」の意味・わかりやすい解説

陣取
じんとり

児童遊戯の一つ。陣屋取ともいわれる。2組に分れそれぞれの陣地を木あるいは電信柱などに定めて,相互に敵の陣地を奪い合う遊び。この遊びのもとと思われる「陣取」の語は中世以降の戦記物語にみられる。また,おはじきをはじいて敵陣を奪い合う国取遊びも陣取という。城とりごっこ,戦争ごっこもこの一種である。

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