陣幕(読み)じんまく

精選版 日本国語大辞典 「陣幕」の意味・読み・例文・類語

じん‐まく ヂン‥【陣幕】

〘名〙 陣屋に張りめぐらす幕。麻布などを用い、定紋(じょうもん)を入れる。軍幕
※浄瑠璃・国性爺合戦(1715)五「八町四方の木城をからくみ、ぢんまく・戸幕・錦の幕」

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デジタル大辞泉 「陣幕」の意味・読み・例文・類語

じん‐まく〔ヂン‐〕【陣幕】

陣屋に張り巡らす幕。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「陣幕」の意味・わかりやすい解説

陣幕
じんまく

軍陣において野外宿営の際などに、周囲を囲んで張り巡らす幕。軍幕ともいう。古く軍防令(ぐんぼうりょう)に兵士10人に紺布幕1張を要すとの規定もあり、奈良時代にも軍事に幕を用いたと思われる。『今昔物語』に、武人の寝所の周囲に防御のため大幕を張ったとの記事もある。風をはらむことにより矢の勢いをそいだものである。『前九年合戦絵巻』『後三年合戦絵詞(えことば)』には、すでに家紋をつけた幕を陣所に用いたようすが描かれている。室町時代には一定の形式も生じた。江戸時代の形式は、『本朝軍器考』などによれば幅は五幅(いつの)(約1.5メートル)、長さは2丈8尺(約8.4メートル)、幕をたてる串(くし)である幕串(まくぐし)は、大将10本、軍士8本、乳(ち)に通す手綱は白と黒と青の布縄で、定紋は5か所ないし3か所、7か所につけるとする。また陣幕を洗うことは不吉とされた。

[齋藤愼一]


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