隆興寺(読み)りゅうこうじ(英語表記)Lóng xīng sì

改訂新版 世界大百科事典 「隆興寺」の意味・わかりやすい解説

隆興寺 (りゅうこうじ)
Lóng xīng sì

中国,河北省正定県にある仏寺。俗に大仏寺ともいう。隋代,586年(開皇6)の創建で,当初は竜蔵寺といったが,宋代に再建されて竜興寺と改称し,清代以降今日の名称となった。山門,大覚六師殿址,摩尼殿,戒壇,転輪蔵殿,慈氏閣,仏香閣,弥陀殿などが立ち並び,宋代の左右対称の伽藍配置を基本的にはとどめた華北地方の代表的な仏教建築遺構。前方の摩尼殿は北宋代,1052年(皇祐4)の建築で,正方形平面の四面に向拝こうはい)を付した特異な形式をもつ。後方東西に向かい合う慈氏閣と転輪蔵殿はともに二重入母屋造の同形式で,とくに後者はよく北宋の様式をとどめており,内部に六角形の転輪蔵がある。最後方の仏香閣(大悲閣)は1940年の再建で規模が縮小されているが,石造の須弥壇に立つ千手千眼観音菩薩は北宋,971年(開宝4)の鋳造で,高さ22m,42臂(ひ)の巨大な銅仏の代表的遺品。寺内にのこる創建当時の《竜蔵寺碑》は楷書の作品として名高い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「隆興寺」の意味・わかりやすい解説

隆興寺
りゅうこうじ
Long-yu-si

中国,河北省正定県にある大寺院。以前は竜藏寺と書き,隋・唐時代の創立らしい。多数の建築群のうち山門,摩尼殿,慈 氐閣,転輪蔵殿は後世重修されているが,北宋末期から金代初期頃の建築と考えられる。

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