雁書(読み)ガンショ

デジタル大辞泉 「雁書」の意味・読み・例文・類語

がん‐しょ【×雁書】

手紙雁信。→かりの使い
[類語]手紙書簡書信書状書面紙面信書私信私書しょ一書手書親書手簡書札しょさつ尺牘せきとく書牘しょとく消息便りふみ玉章たまずさレター封書はがき絵はがき郵便

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精選版 日本国語大辞典 「雁書」の意味・読み・例文・類語

がん‐しょ【雁書】

〘名〙
扶桑集(995‐999頃)七・重賦雲字〈橘在列〉「蝉鬢不風櫛色。雁書欲涙添文
※俳諧・犬子集(1633)「文づらもみだして送る鴈書(ガンショ)哉〈慶友〉」
② (転じて) 雁。
文華秀麗集(818)下・神泉苑九日落葉篇〈巨勢識人〉「已見淮南木葉落。還逢天北雁書帰」

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普及版 字通 「雁書」の読み・字形・画数・意味

【雁書】がんしよ

書信。〔漢書武伝〕をして單于(ぜんう)に謂はしめて言ふ。天子、上林中に射て雁を得たり。足に帛書を係(か)くるり。言ふ、武等某澤中に在りと。~單于、左右きて、に謝して云ふ、武等實は在りと。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雁書」の意味・わかりやすい解説

雁書
がんしょ

手紙のこと。中国漢の昭帝のとき、匈奴(きょうど)は漢と和睦(わぼく)を結んだが、漢の使者蘇武(そぶ)を捕らえ、武は死んだと言い張って帰さなかった。そこで帝は、庭園で射落とした雁(ガン)の足に、武の生存を伝える手紙を収めた帛(はく)(絹布)が結んであったと詐(いつわ)って、匈奴と交渉し、ついに蘇武は帰国することができた、と伝える『漢書(かんじょ)』「蘇武伝」の故事による。雁札(がんさつ)、雁信、雁帛などともいい、和語でも「かりのたまずさ」「かりの便り」などという。

[田所義行]

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世界大百科事典(旧版)内の雁書の言及

【ガン(雁)】より

…渡りのときはおもに夜間に飛ぶ。【柳沢 紀夫】
[伝承]
 雁は候鳥(こうちよう)で,秋には南に渡り春には北に帰るところから,中国では遠隔の地の消息を伝える通信の使者と考えられ,雁信,雁書の説が生まれた。仏の前生話にも雁が出る。…

※「雁書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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