雲井龍雄(読み)くもいたつお

精選版 日本国語大辞典 「雲井龍雄」の意味・読み・例文・類語

くもい‐たつお【雲井龍雄】

幕末志士米沢の人。本姓小島。名は守善。通称龍三郎。安井息軒に学ぶ。戊辰戦争の時、奥羽越列藩同盟結束をはかって奔走したが、失敗。のち新政府高官暗殺をたくらんだ疑いで捕えられ、刑死。天保一五~明治三年(一八四四‐七〇

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雲井龍雄」の意味・わかりやすい解説

雲井龍雄
くもいたつお

[生]弘化1(1844).3.25. 米沢
[没]明治3(1870).12.26. 東京
幕末~明治維新期の佐幕系志士。米沢藩士中島惣右衛門の次男で,のち同藩士小島才助の養子となった。通称は龍三郎。雲井龍雄は変名。慶応1 (1865) 年,江戸に遊学して安井息軒に師事し,朱子学,陽明学を修め,のち藩の依頼で公武合体に奔走。慶応4 (68) 年4月,新政府の貢士として議政官下局に名を連ね,徳川氏の立場を弁護,官軍東征の動きを知ると帰東して迎撃態勢を整えるよう奔走。「討薩の檄」を作成して薩長間の離間を策した。奥羽越列藩同盟の結成に尽力して策謀練り敗戦とともに米沢に謹慎した。明治2 (69) 年7月,東京に出て再挙をはかり,長州,土佐系高官と通謀して新政府の転覆を策したが,新政府側の察知するところとなり,捕えられ斬首。雲井の思想は佐幕,勤王攘夷封建,つまり公武合体のうえに立った攘夷論で,きわめて特異なものであった。

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